「説明書は今のところ、さらっと読むだけでいいです」という話を前回はしました。まずは全体の概要を、何となくでも構わないのでつかむことが重要なんです。

それが完了したら、次の段階に進みましょう。

■次のステップ

一度説明書を読み終わったら、また最初のページに戻り、もう一度読み直してみましょう。これが次のステップです。

ただし、今度は読むだけではなくて、実際に操作をしながらもう一度読み返していきます。今回のポイントはここにあります。

オートキャド(AutoCAD)の知識を自分のモノにする為には、やはり実際にやってみるのが一番の近道です。知識を得たなら、次に必要なのは実践することですから。

知識というのは、頭の中でためているだけでは役に立ちません。実際にやってみることによって、初めてあなたの役に立つようになります。

という訳で、ぜひもう一度説明書やガイドブックを読みながら、実際にオートキャド(AutoCAD)の操作をやってみてくださいね。

ただ、ここで実際にやってみるのは、本当に初歩的なコマンドだけで構いません。オートキャド(AutoCAD)には膨大な数のコマンドがありますが、その中から基本的なコマンドだけを選びます。

もし全てのコマンドをひとつずつやっていったら、相当な時間がかかりますし、ひとつひとつのコマンドがぼやけてしまい、覚えることは出来ないでしょう。

それではやる意味がありませんから、きっちり自分で覚えながらやる為に、まずは基本的なコマンドだけをターゲットにしましょう。最初はそれで十分です。

■基本的なコマンドって?

オートキャド(AutoCAD)の基本的なコマンド、と言っても人によって微妙に違ってくると思います。でもそんなことを言っていても始まりませんから、私の主観で選んでしまいました。

そうすると、大体下記のようなコマンドが、基本的なコマンドと呼べるのではないかと思います。

・線を引く → LINE・PLINE
・円を描く → CIRCLE・ELLIPSE・ARC
・文字を入力 → DTEXT・MTEXT
・オブジェクトを消す → ERASE・BREAK
・オブジェクトの移動や複写 → MOVE・COPY・OFFSET
・線の編集 → EXTEND・TRIM・STRETCH・FILLET
・オブジェクトの編集 → SCALE・ROTATE・MIRROR
・寸法線を記入 → DIMLINEAR・DIMCONTINUE・他

基本的なコマンド=よく使うコマンドですから、上記のコマンドを覚えることは、オートキャド(AutoCAD)を使っていく上で絶対に必要なことです。

ちょうど良い機会なので、ここでさくっと全て覚えてしまいましょう。
コマンドの数自体はさほど多くありませんから、ひとつずつじっくりと試してみてくださいね。

そして、実際にやってみると「別にそれほど難しいこともないな」ということに気付くと思います。

このあたりの基本的なコマンドは、オートキャド(AutoCAD)についてどれほど熟練したとしても、絶対に使うことになるコマンドです。

オートキャド(AutoCAD)ドを使う限り、ずっとお世話になるハズです。

手描きで言えば、鉛筆や消しゴムの使い方と同じです。なので、ここで多少の時間をかけたとしても全然無駄ではありません。地味な作業ですが、絶対に必要な作業です。

■どこを覚えればいいのか

基本的なコマンドを覚えてしまいましょう、と言いましたが、コマンドの名前と機能を覚えるだけではダメです。

ここで覚えておきたいことは、アイコンをクリックしてからコマンドが完了するまで、どんな流れで進んでいくか、ということです。
たとえば移動(MOVE)であれば、下記のような流れになります。

1.移動アイコンをクリック(又はMOVEと打ち込みENTER)

2.移動させたいオブジェクトを選択

3.移動の基準点をクリック

4.移動先の点をクリック

5.移動完了

設定によって1と2は入れ替えることが出来ますが、それ以外の大まかな流れは変わりません。

なので、画面上の基準点などをどのタイミングでクリックすれば良いのか、それさえ覚えてしまえば操作が非常にスムーズになります。基本を地味にやる目的はそこにあります。

作業の効率化というのは、こうした地味な工夫を繰り返すことによって実現します。バカバカしいと思うかも知れませんが、とても大事なことですし、やってない人も結構います。

やるとやらないとでは大きな差が出ますから、積極的にコマンドの流れを覚えてしまいましょう。そのうちに、別のことを考えながらでも、きちんと移動コマンドが使えるようになります。

目指すレベルはそこですね。

■効率をよくする理由

どんな図面であれ、一枚の図面を書き上げる為には、それこそ何千回ものコマンドを繰り返す必要があるはずです。様々なコマンドを積み重ねて初めて図面は完成するんですね。

では、積み重ねられたコマンドひとつひとつにかかった時間を、少しずつ短くしたらどうなるでしょうか?
ほんの少しずつでも、作図にかかる時間が短くなりませんか?

オートキャド(AutoCAD)を使って仕事をするのなら、どんなレベルであれやはりプロなんです。これを忘れてしまってはいけません。

プロであれば、作図時間という結果にもこだわるべきです。そして、作図時間を短縮するには、今お話ししたような地道な方法が王道なんです。

仮に、一枚の図面で短縮できる時間がほんの少しだとしても、それは全然OKです。たとえ少しの時間でも、積み重ねると大きな差が出ますからね。

時間を節約する。これは仕事をする上で非常に重要なポイントではないでしょうか。少なくとも私はそう思います。

ちなみに、オートキャド(AutoCAD)の説明書やガイドブックに書かれている方法というのは、必ずしもベストという訳ではありません…。どちらかと言えば、標準的というか無難な方法ばかりです。

まずは標準を覚え、それから自分のオリジナルを造っていく。長い目で見ると、結局はこの手順が一番確実な方法だと私は思っています。

ですから、オートキャド(AutoCAD)の説明書あるいはガイドブックを読む、というのはその第一歩になるんですね。

これはぜひともやってみて頂きたいと思います。