前回の続きとして、オートキャド(AutoCAD)では各レイヤーにどんな色を設定していくのか、つまりどんな太さで印刷するのかについて考えたいと思います。

線の太さをどうしたいのかについては前回お話しして決まっているので、次は色ということになる訳ですね。


■画面の色と作業性と

色。

以前もお話ししましたが、これには印刷設定が絡んできます。でもとりあえず印刷設定は置いておき、作業性と色の関係についてここでは考えてみましょう。

という訳で、ここで話を少し前の画面表示に一旦戻します。

まずは、オートキャド(AutoCAD)の画面色が黒になっているかを確認しましょう。画面が白だと眩しくてすぐに目が疲れますから、まだ変えてないなら今すぐ変えましょう。

では改めて質問します。オートキャド(AutoCAD)の背景が黒の状態で、一番見やすい色は何色でしょうか。色々と考えてみてくださいね。

って簡単すぎますか…答えは白です。白は黒の反対色なので見やすいんですね。

基本的に黒は暗いので、明るい色は見やすいですね。コントラストが大きいほど見やすいということが言えると思います。

では逆に、黒の背景に対して見づらいのはどんな色かというと、青等の比較的暗い色が挙げられるでしょう。以上の点を頭に入れながら、レイヤーの色を考えていく訳です。

■基本色を考える

次に、色の種類について再度考えてみます。

オートキャド(AutoCAD)の色は256色ありますが、一般的に良く使われるのは1~7までの基本色です。1~7までの色には、基本色ということでREDなど色名がついています。それ以外の色は番号のみです。

基本色は1から順番に以下のようになっています。

1:赤【red】
2:黄色【yellow】
3:緑【green】
4:水色(シアン)【cyan】
5:青【blue】
6:紫(マゼンタ)【magenta】
7:黒(または白)【white】

この中で、背景色の黒に対して見やすい色、見づらい色に分けてみるとだいたいこんな感じになると思います。

・比較的見やすい色:黄色・緑・白・水色(シアン)
・見づらい色:青
・その中間くらい:赤・紫(マゼンタ)

どうしてこんなことを書くのかというと、よく使うレイヤーの色はなるべく見やすい方が望ましいからです。線の太さももちろん考えますが、実際に作業する時のことも考えて色は決めたいものです。

ここで例として、私の場合のお話をします。

好みもありますが、私は一番見やすい白を太線として、断面線のレイヤーで使用しています。文字は黄色とかシアン等にしています。これは時々好みによって変わってしまいますが。

見え掛かりは緑又はシアンとしています。図面によっては色々な見え掛かり線が出てきますから、区別する為に何色かを使い分けています。選ぶ色はやはり見やすい色です。

通り芯は赤で、壁芯は青です。芯はそれほど目立つ必要はありませんし数も壁ほどは多くないので、若干見づらくてもいいかなと思っています。ただ、時々壁芯の青が見づらく感じますが。

寸法線は赤にしています。この線もあまり目立たなくていいので、赤で問題ないでしょう。

と、こんな感じとしています。しつこいようですが、これは好みもありますから、必ずこうする!という話ではありません。とりあえず参考程度に聞いておいてくださいね。

あと、私がなるべく心掛けているのが、基本色以外をなるべく使わない、という点です。256色をフルに使われたら印刷する人が大変ですから、なるべく上記の7種類の中から選ぶようにしています。

たくさんの色を使うのがどうして大変なのか。これは、あなたが実際に他人の作図したオートキャド(AutoCAD)データを編集したり印刷したりする際に、きっとイヤと言うほど分かります。

色数を使いすぎると、線の太さなどをそれぞれ管理がとっても難しいんです。思いがけない色を使われると、印刷結果が「何これ?」という状態になりがちです。

カラープリンターで印刷してみると、変なところがカラーになったり太く出てみたり。逆に白黒プリンターなのに、無理矢理カラーで出そうとしてグレーになってみたり。まあ色々な「何これ?」がある訳です。

そんな訳で、レイヤーの色を決める際には出来るだけ基本色を考えてあげた方が、受け取る側にやさしいデータになります。

■結局は決められたルールに

もちろん、あなたがどこの会社で作業をするにしても、きっとそのあたりの色設定については会社毎にルールが決まっているハズです。

決めないと効率が悪いですから、そういうことを決めない会社では逆に心配です。

ですから実際には色の設定でそれほど悩むことはないでしょう、というのが最終的な私の意見です。ただし、今までの話は知識として知っておいたほうがいいです。

色の決め方についてはこんなところです。よく考えて決めたいところですが、他の人が(会社が)決めた設定にあわせなければならない、という現実があります。

決められた設定が見やすければいいのですが…ね。

余談ですが、とある会社の共通設定で、文字関係が全て8番となっていたことがありました。8番というのは、見て頂ければ分かりますが灰色です。ええ、暗めの灰色です。

言うまでもありませんが、お世辞にも「見やすい色」とは言えない色が、たくさん使う文字の色に設定されているんです。

実際にオートキャド(AutoCAD)を使っていない人たちが何人か集まって、会社の方針として決めてしまったのだと思われます。実務をする側からするとたまったものではありませんが。

画面で見ると激しく見づらいんですけど、大きな会社なので、一部の部署だけ変える訳にはいかないのだそうです。うーん、そういうものなんですかねえ。

便利になるのであれば、別に構わないと私は思うんですけどね。巨大な組織の弱点は小回りがきかないことなのだと痛感しました。