前回は「自分がオートキャド(AutoCAD)をどこまで理解出来ているかを掴んでいる必要がある」ということをお話ししました。

どこが分からないかを自分で考える、というのは非常に重要なポイントなんですね。

そして、自分がわからないことを整理する手段のひとつとして、他の人に質問する、という選択肢があります。これ、実はかなり重要なことなんですよね。

という訳で、今回は質問することについて少しお話ししますね。


■そう簡単には質問できない

初心者の方に「分からないことがあったら質問してくださいね」と言っても、実際はなかなか質問されないものです。今までの経験からして、それは間違いありません。

それは何故かというと、どこが分からないのかが分からない、という状態になっているからです。

分からないところは全体的にです。と言われる方もいますが、これも同じです。分からない部分を自分でつかんでいないので、全体としか言えないのです。

全体的に分からないのなら、オートキャド(AutoCAD)の立ち上げ方も分からないのかというと、そうではありません。どんな人でも、ある程度の所までは作業が出来たりします。

自分の中で、どこまでは覚えていて即実践出来るか、どこまでは知識として知っているか。これが整理できていないのです。これをはっきりとさせないと、ただ漠然と分からない状態が続きます。

そんな状態では質問も出来ませんし、覚えていくスピードが非常に遅いということになってしまいます。それではちょっと困りますよね?

「全く分かりませんがどうしたらいいですか?」という、返事に困る種類の質問ではない限り、質問する為にはそれなりの準備と勉強が必要です。これは実際にやってみれば分かります。

何故準備が必要なのかというと、自分はどこが分からないのかを相手に示さなければ、絶対に答えはもらえないからです。ですから、質問をするというのはとても効率の良い勉強方法なんですね。

自分できちんと準備した質問に対して、自分よりもっと知識と経験がある人から答えをもらう。この手順を繰り返していくと、質問する人の知識は驚くほど成長していきます。

■答える側にもメリットがある

また、ついでという訳ではありませんが、実は質問に答える側もかなり勉強になるんです。自分で理解しているのと、それを人にわかりやすく説明するのとは、全く別の話ですからね。

質問をされた人は「どうやって説明したら簡単に理解してもらえるか」を懸命に考えることになります。

普段あまりそういうことは考えませんから、説明する側にとっても自分の知識を整理する良いチャンスなんですね。

知識が浅い人には、そんなことやりたくても出来ません。なので、わかりやすい説明が出来ないことが多いです。

質問したら、なんだかよく分からない専門用語を連発してきて、最後に「あなたには分からないかも知れないけど…」的な言葉で締めくくる。

ありがちな困った人のパターンですが、そういう人は要注意です。本人も質問の内容についてよく分かっていなくて、本当は答えられない可能性が大です。

それか、ただ単純に面倒だと思ってるか、自分の知識をアピールしたいだけか(←困ったことに結構います)、まあそんなところです。

いずれにしても質問する相手としては適切ではありません。もし別にいるのならばの話ですが、他の人に質問することをお勧めします。

ちなみに私の経験から言わせて頂くと、本当に知識とスキルのある人は、必ずどんな人にも分かるような言葉で説明をしてくれます。

相手がどんなところで分からなくなっているのか、ちゃんと見ているんですね。

もしあなたの周りにそういう感じで分かりやすく説明してくれる人がいるなら、それは非常に幸運なことです。相手の仕事の妨げにならない範囲で、何度も質問をしてしまいましょう。