オートキャド(AutoCAD)には、オブジェクトスナップで選択出来る点の種類がたくさんある、というお話しを前回はしました。

オブジェクトスナップの点は全部で11種類あって、それぞれ使用頻度が違います、という話でしたね。

では、実際にオブジェクトスナップを利用するにはどうすればいいのでしょうか。実際の操作方法に関しては、何通りかの方法が存在しますが、どのやり方が一番効率的なのでしょうか。

今回は、そういった疑問について考えていきたいと思います。

まずは、オブジェクトスナップには大きく分けて2種類の考え方がある、という点を覚えておきましょう。

ひとつは定常オブジェクトスナップ、という考え方です。定常オブジェクトスナップ。これも耳慣れないかも知れませんね。

そして、もうひとつは定常ではない場合です。ちょっと説明が大ざっぱすぎますかね。強いて言うなら個別オブジェクトスナップ、という感じでしょうか。

どちらが重要かを考えると、定常オブジェクトスナップの方が重要度が高いです。ですから、作業の効率をアップさせる為には定常の設定を良く考える必要がある、ということです。

定常ではない場合については、その都度選ぶだけですから、作業効率にはそれほど影響してくることは無いと思います。前回の項目で種類を一通り覚えていれば、特に困ることはありません。

重要度や使用方法がそれぞれ違うので、ここからは個別にそれぞれの特徴をお話ししていきたいと思います。

■定常オブジェクトスナップ

ちょっと遅くなりましたが、ここで定常オブジェクトスナップとはどんなモノなのかを説明しようと思います。

漢字の雰囲気でなんとなくわかる方もいると思いますが、定常オブジェクトスナップとは、常に指定した点を選択してくれる機能のことを指します。

常に定まった点を選択、で定常、というイメージでしょうか。

これとこれ、みたいな感じで先に任意の点をピックアップしておけば、後はその指定を解除するまでずっと、指定したスナップ点を選択してくれます。

これは非常に便利かつ有効な機能ですから、ぜひぜひ試してみてくださいね。

操作の方法はとても簡単です。

①コマンドライン上で「OSNAP」と入力してEnterを押すと、定常としたいスナップ点を選ぶ為に、ダイアログボックスが出てきます。

②そこで、常に選択したいスナップ点を自分なりに考えてピックしていき、OKボタンを押すだけです。

③以上で完了です。とっても簡単ですよね?

「OSNAP」と入力するのが面倒だと感じたら、Shiftを押しながら右クリックでもいいです。

そうするとスナップ点の一覧がベロッと出てきて、その一番下に「定常Oスナップ設定」という項目があるので、そこをクリックしても同じくダイアログボックスが出てきます。

あとの操作は同じですね。

■定常オブジェクトスナップの落とし穴

ただし、ここで注意しなければならない点がひとつあります。

定常オブジェクトスナップの組み合わせによっては、作業が非常にやりにくくなる場合がある、ということです。

オブジェクトスナップがオンになっている場合でオブジェクト上にカーソルを持っていくと、基本的に一番近いスナップ点を自動的に選んでくれます。

例えば端点だけを定常としている場合、点を指定する場面で線の上にカーソルを移動させると、近い方の端点を選択することになります。

横に引いた線であれば、線の右半分にカーソルがあれば右側の端点を、左半分であれば左端点を、という具合です。

時には思わぬ点を選んでしまうので邪魔に感じる場合もありますが、これがスナップの特徴であり、利点でもあります。ここまではいいでしょうか。

(補足)————————-
ちなみに、スナップさせたいオブジェクト上にカーソルを移動させ「Tab」キーを押すと、スナップさせたい点を切り替えることが出来ます。
…が、微妙に回りくどいので、私はあまりこの機能を使っていません。でも使えない機能ではないので、一度試してみることをオススメします。
————————-(補足おわり)

今回の例のように、定常としているのが1つだけの場合はそれほど問題にはなりません。どちらかの点が選ばれる、というシンプルな話です。右か左か、というだけの世界ですね。

ですが、実務レベルで考えると、定常とするのが1つだけというのはちょっと考えにくいんですよね。実際問題、私の周りで定常オブジェクトスナップは端点だけです、という人はいません。

非常に使い勝手の良い機能ですから、やはり4~5種類のスナップを定常としている人が多いです。もちろん私もそうです。

そうすると、何故やりにくくなる場合が発生するのでしょうか。先程の例を、今度は端点だけではなくて、端点・中点・垂線・近接点とした場合について考えてみましょう。

横に引いた線の中点からさらにもう1本線を引きたい場合、定常が中点だけなら線上のどこでも中点を選択してくれます。

ですが、この場合は複数の定常が効いている為、ちょっとやそっとでは中点を選んでくれないんです。

今回の例で言えば、近接点。これは特に要注意です。実際にやってみて頂ければわかりますが、近接点を定常に入れるとほとんどの場面で近接点が選ばれることになってしまいます。

端点を選ぶ為には、本当に線の端部までカーソルを持っていかないとダメな状況です。これではオブジェクトスナップの利点を生かし切っているとは言えません。

それに、中点を選ぼうとしても、すこしカーソルが離れすぎるとすぐに近接点を選んでしまいます。その場で間違いに気付けば良いのですが、微妙にズレた状態で作図を進めると最悪なことになります。

ある部分から、突然小数点の嵐が発生します。非常に細かい図面は例外ですが、小数が出てしまうと言うことは正確に作図が出来ていないということです。

こんなデータを私はしょっちゅう受け取りますが…。まあ原因はこんなところにあるのだと勝手に思っています。

これを修復するのは非常に骨が折れる作業ですし、ストレスが溜まります。やりたくない作業ランキングがあったら、間違いなくベスト5に入る作業です。

いや、あまり見たくないランキングですが…。

という訳で、定常オブジェクトスナップには、出来るだけわかりやすいモノだけを選んだ方が良いです。便利な機能でも、間違いの元になっては意味がありません。

ちなみに、私が定常にしているのは、端点・中点・交点・中心の4種類です。本当は垂線も入れたいところなのですが、上記した理由によって断念しています。

他の人の設定を聞いてみましたが、やはり端点と交点はほぼ100%の割合で入っています。中点と垂線が好みの分かれるところで、だいたい半々くらいでした。

中には近接点を入れている人もいましたが、色々聞いていくなかで私はあるひとつの法則に気付きました。近接点を入れている人は、全体的に入れている量が多いという、妙な共通事項がありました。

全ての点をピックしているツワモノもいましたが、私は出来れば一緒に仕事をしたくないと思ってしまいました。全部ピックするというのは、特に何も考えていないということだと私は思うからです。