今回はY通りを作図する方法の3番目として、回転コマンドをもう少し進めた手段を紹介したいと思います。

「進めた手段」とか言ってしまうとなんだか凄いことをするようなイメージがありますが、実際はそんなことないので、表現を少しだけ変えましょうか。

回転コマンドとは微妙に違う方法、という感じでしょうか。わかりにくいというか…あまりパッとしない気がします。でもまあ良しとしましょう。

今回お話しするのはミラーコマンドです。漢字で書くと鏡像という感じになるでしょうか。

ちょっと個人的な話で恐縮ですが、オートキャド(AutoCAD)のコマンドの中で、ミラーは私が特に好んで使うコマンドです。

話が脱線しそうなので先に進めましょう。

まずはY方向の通り芯を作図する手順からお話しします。

今回はY方向の通り芯を作図する為に、最初からミラーコマンドを使用することになります。ミラーコマンドと作図の流れは以下で説明をしますね。

■鏡像(MIRROR)

ミラーコマンドです。選択したオブジェクトを、指定した線にそって対称移動又は複写をします。

①コマンドの開始
まずはミラーコマンドを開始する必要がある訳ですが、短縮コマンドをどこに割り当てるかについて、少し考えてしまいます。

本来はコマンドのスペルから「M」としたいところです。でも以前お話ししたように「M」は移動コマンドで利用してしまっていますので、別の文字を考える必要が出てきます。

代わりの候補をいくつか挙げてみましょう。まずは「MM」そして「K」あたりが考えられます。

ミラーの頭文字を2文字分重ねて「MM」とするか、あるいは鏡像の頭文字を取って「K」とするか。そんなところが無難なところではないかと思います。

ちょっと想像力が乏しい気もしますが、あまり変化球を狙っても意味がありませんので、このあたりに落ち着きます。

とりあえず今回は「K」+Enterで話を進めましょう。と言う訳で、これでコマンドを開始します。

②オブジェクトの選択
コマンドを開始すると、以下のような表示が出ます。

オブジェクトを選択:

ここでミラーさせたい(おかしな日本語ですね)オブジェクトを選択してEnter又は右クリックをしてあげましょう。

オブジェクトの選択方法は色々あります。こちらで詳しくお話しをしていますので、参考にしてくださいね。

③対称軸の指定
オブジェクトを選択すると、次はミラーコマンドの重要なポイントである対称軸の指定です。

対称軸の1点目を指定:

上記のような表示が出るので、画面上から任意の点をクリックしましょう。すると次に、以下のような表示が出ます。

対称軸の2点目を指定:

ここでもう一度、画面上から任意の点をクリックします。

ミラーコマンドでは、今回指定した2点を結んだ線が対称軸となります。この指定方法は慣れるまで結構かかりますので、今回は練習ということで色々とやってみましょう。

まっとうな角度でミラーをする為には、対称軸の角度は45度単位でなければならない、と言うことに気がついたでしょうか。それ以外の角度でミラーをしても、あまり実用的ではありませんね。

今回の場合では、右45度下がりの線を対称軸にすると上手いことミラーが出来ます。ですから2点目を指定する際、以下のように数値入力をする方が早いです。

@10,-10(前回指定した点からX方向に10、Y方向に-10移動した点、つまり-45度の線)
@10<45(前回指定した点から長さ10、角度-45度の線)

④移動か複写の指定
対称軸を指定すると、以下のような表示が出ます。

元のオブジェクトを削除しますか? [はい(Y)/いいえ(N)] :


これは要するに、移動か複写のどちらか、ということです。これはケースバイケースなのでその時に応じた指定をしてあげましょう。



今回の場合は複写したいのですから、そのままEnterをするか、「N」+Enter又は右クリックをします。そうすると新たにY方向の通り芯が1本作成されるはずです。



⑤コマンドの完了
ミラーコマンドはとりあえずこれで完了します。



慣れるまで多少の時間はかかりますが、なかなか使い勝手の良いコマンドです。ぜひコマンドの流れと使いどころを思えて頂きたいと思います。



ただ、実際には通り芯の文字角度など、多少の問題が発生します。それらの解決方法は次回にお話ししようと思います。