今回は文字の位置合わせについて考えてみたいと思います。

「位置合わせ」というと少し分かりにくいですが、要するに文字の基準となる点はどこか、ということです。

文字の基準となる点を設定することにはどんな意味と効果があるのでしょうか。また、文字の基準点をうまく使う為には、どの様な点を考えれば良いのでしょうか。

また細かい話?と思うかも知れませんが、今回はそのあたりのポイントについて考えてみることにします。

■色々ある基準点

以前、文字記入コマンドの流れについてお話ししましたが、TEXTコマンドを開始してすぐにするのが文字列の始点を決めることでした。

文字列の始点…また新しい呼び方が出てきましたね。なんだかメンドクサイ感じになってきましたが、じつはそれほど難しい訳ではありません。

先程お話しした文字の位置合わせ、つまり文字の基準となる点というのは、TEXTコマンドで指定する文字列の始点と同じ点なんです。

呼び方が違うだけで(ややこしい原因はそこなんですが)位置と意味は同じなんですね。ちなみに、オブジェクトスナップの「挿入基点」も同じ点を指します。

あまり上手くない説明になってしまいましたが、文字の位置合わせ点=文字列の始点=オブジェクトスナップの挿入基点、という事になるんですね。

ちょっと面倒な気がするかも知れませんが、文字の基準となる点というのは、結局のところひとつしかないと言うことです。そう考えるとそれほど難しいことはないと思います。

ちなみに、これから説明する際には混乱するので、全て「文字の基準点」という表現に統一させて頂きますね。どうも位置合わせってあまりピンと来ないんですよね…。

■初期設定ではどこか

まずは特に設定をしない場合、つまり初期設定について考えてみましょう。

オートキャド(AutoCAD)の初期設定では、文字の基準点は「左寄せ」に設定されています。これはワープロなどと同じで、文字列の左下が基準点ということです。

文字の基準点は、どんなに文字を記入しても移動することはありません。だから基準点な訳ですね。

で、基準点が左下で固定ということはつまり、文字を記入していくと右側に文字が追加されていく、ということです。なんとなくイメージできるでしょうか。

実際に自分の手で文字を書く時も、一文字ずつ書きながら右側に文字をどんどん追加していきますよね。基準点が左下というのは、その感覚に一番近い基準点ということになると思います。

オートキャド(AutoCAD)もそのあたりの事は分かっていて、やはり一番直感的な基準点を初期設定にしている訳ですね。

■他の基準点は?

初期設定は分かりましたが、では他にはどんな基準点があるのかというと、これが結構色々あるんです。

まず横方向の基準ですが、これには左・中央・右の3種類があります。次に縦方向の基準ですが、こちらも上・中央・下の3種類がある訳です。

単純に考えると3種類×3種類で9種類の基準点が存在することになります。具体的には、左下・下中心・右下・左中央・中央・右中央・左上・上中心・右上、という感じです。

またそれとは別に、左寄せ・中心・右寄せという3点もあります。これは実際には左下・下中心・右下とあまり違わない点ですが、初期設定が左寄せであることを考えると、左下などを使わずに左寄せなどを使った方が良いのかも知れません。

と、ここまでは良いでしょうか。基本的な基準点は、多少ダブってはいますが合計12ヶ所ある、ということですね。

ではさらにプラスアルファと言うことで、あと二つの基準点を紹介します。どちらも微妙に似ていますので、一緒にお話ししてしまいますね。

残りの基準点のうちひとつは「フィット」で、もうひとつが「両端揃え」です。

何となく雰囲気は伝わるかと思いますが、どちらも指定した巾の間に文字を均等配置する、という機能をもっています。たとえ何文字入力したとしても、必ず指定した2点の間に文字列が納まります。

これは書類や一覧表などを作る時に重宝するハズです。…つまり、図面ではあまり使うチャンスがない、ということになる訳ですが。

この「フィット」と「両端揃え」はどこが違うか。これは単純な話です。

「フィット」は文字が多くなったとしても、文字の高さは変えずに文字を縦長にすることによって均等配置をします。当然文字が増えれば激ヤセの文字が出来上がります。

一方「両端揃え」は文字が多くなった場合、文字の高さを小さくすることによって均等配置をしようとします。文字が増えた場合、どんどん文字自体が小さくなっていきます。

どちらが良いのかというと、「読めなくなる」という点においてどちらも大差がありませんので、どちらでも構いません。

ただ、書類的には文字の高さが揃わないのは美しくないので、どちらかと言えばフィットを使う方がまだマシではないかと思います。

いずれにしても読める程度には文字を大きくしたり、文字巾を広げたりする必要がある、ということです。ここでもやはり、文字を「読めるように」という話が出てきます。

文字関連で覚えるべきポイントはたくさんありますが、結局のところは「文字が読めるように」というのが最大のポイントになってくるんですね。

ちょっと長くなりましたので、文字の基準点を変える状況はどんな場合かについては、次回にお話ししたいと思います。