今回はTrueTypeフォントを使用した場合に出てくる問題を考えてみます。

TrueTypeフォントについては以前【TrueTypeフォントとは?】でお話ししていますので、「なにそれ?」と思った方は読んでみてくださいね。

TrueTypeフォントとは、簡単に言ってしまえばワープロで使うような綺麗なフォントのことを指します。その綺麗なフォントをオートキャド(AutoCAD)でも使うことができる、ということです。

■どんな問題が?

TrueTypeフォントをオートキャド(AutoCAD)で使用した際に出てくる問題とは、一体なんでしょうか。

難しい漢字も記号もきちんと表示されるというTrueTypeフォントの特徴から考えると、文字が表示されないとか「?」になってしまうという事はあまり考えられません。

ここでお話しする問題とは、タイトルにも書いていますが、文字の中身が黒くならずに白抜きの文字になってしまう、という事なんです。

TrueTypeフォントでは特に文字を装飾しない限り、文字は黒く塗りつぶされているのが普通です。白抜きの文字というのはフォントの設定で指定は出来ますが、図面ではあまり使わないフォントだと思います。

でも作図した図面を印刷すると、文字がいつの間にか白抜きになっていたりします。それも、全てのTrueTypeフォントで。

実際に印刷をしてみると、普通の文字サイズ(3mm前後)の場合では、黒塗り(通常)よりも白抜き文字の方が太く見えたりします。

それは何故かというと、白抜き文字の場合は文字の周囲を囲む線に、色による太さが追加されるからです。文字を縁である黒い線を太く印刷するので、線の太さ分大きく見えることになるんですね。

これは言葉で言うよりも、実際にやってみるとよく分かります。

こうなると、ただでさえ目立つTrueTypeフォントなのに、さらに目立ってしまうことになります。目立たせたいのならば話は別ですが、それ以外の場合ではあまり嬉しくない状態です。

■システム変数:TEXTFILL

そんな問題を解決するのが、TrueTypeフォントの塗り潰しをコントロールするシステム変数「TEXTFILL」です。

前回お話ししたMIRRTEXTと同様、0と1で設定を切り替えます。初期設定では「1」が設定されていて、それぞれの設定は以下のようになっています。

0:TrueTypeフォントのアウトラインのみ印刷する
1:TrueTypeフォントを塗りつぶして印刷する

先程も言いましたが、通常は塗りつぶして印刷する「1」に設定しておく方が無難です。要するに初期値ですが…。

アウトラインのみ印刷をすると、印刷された図面のイメージがかなり違ってきますので、少し違和感を感じることになると思います。

イメージと違う結果が印刷されるのは困りますから、やはり通常は塗りつぶしする方が良いでしょう。

■文字サイズが大きい場合

ただし、文字のサイズが大きめの場合は、文字を塗りつぶすどうかをしっかりと考えた方が良いです。…というか、塗りつぶしをしない方が良いと思います。

文字を塗りつぶすと、当然の事ながらその範囲は真っ黒になります。ただ、普通の文字サイズで考えると、真っ黒といってもたかが知れています。

ですが、文字が大きい場合はその範囲が大きくなる為、印刷された図面はインクで真っ黒になり、紙も大量のインクを吸ってしまいヘロヘロになります。

もっと細かいことを言うと、インクの消費が非常に早くなるのでコストがかさみます。(これはインクジェットプリンタをベースとしてお話ししています)

なので、文字サイズが大きい場合は、印刷する前にTEXTFILLを再設定した方が良いかも知れません。もちろんあえて塗りつぶしたいという事もあるでしょうが、その際はよく紙を乾かす事をオススメします。

■設定が変わってしまう原因は?

先程はシステム変数「TEXTFILL」の設定についてお話ししましたが、その中で初期設定は「1」という事もあわせてお話をしたと思います。

初期設定「1」とは、TrueTypeフォントを塗りつぶして印刷するという設定でした。通常は塗りつぶしをする方が無難ですから、初期設定でも特に問題はないということですね。

実際、オートキャド(AutoCAD)を結構使っている方にTEXTFILLの話をしても、「文字を白抜きで印刷なんてできるんですねぇ」というような反応をされることが多いです。

つまり、システム変数「TEXTFILL」の設定が「0」に変わらない限り、そんな機能があることなど知らなくても問題ないということです。

存在を知っていてはじめて設定は変更できる訳ですから、設定が「0」になる為にはTEXTFILLを知っている必要があります。…矛盾していますね。

では、どうしてこのシステム変数のお話をしたのか。知らなくても特に問題のない設定ならば、わざわざする必要はないのではないか。そう思った方もいるでしょう。

でもTEXTFILLの設定値は、オートキャド(AutoCAD)にエラーが発生して図面の修復を行うなどした場合、まれに「0」となってしまうんです。

わざわざ説明しているのはそういった理由からなんです。

なにも設定を変えていないのに、今まで黒く塗りつぶされていた文字が白抜きになってしまう。これは結構困ります。

これは今までオートキャド(AutoCAD)を使ってきて、他の人に何回も説明してきたことです。なので、この設定の存在を知っておくだけでも、いつかきっと役に立つ時が来るはずです。

設定のスペルは忘れてしまっても構いません。「そういう設定が出来るんだ」ということさえ覚えておけば、あとはヘルプでも何でも見て調べることが出来ますから。