今回はダイアログボックスについて少しお話しします。

ダイアログ(対話)ボックスはオートキャド(AutoCAD)だけではなく、ウィンドウズの設定やワープロなど、幅広い範囲で利用されている機能です。

基本的にはダイアログボックス内に記入されている項目について、設定をする側が数値を入力したりチェックを入れたりします。

その後「OK」や「適用」などを押し、その時点でダイアログボックスに入力した設定などが適用されることになります。これは様々な場所で出てくる共通のお約束ですね。

その考え方はオートキャド(AutoCAD)でも変わらないのですが、少し変わった使い方も出来るんです。今回はその「変わった」使い方についてお話しをします。

具体的には「ダイアログボックスを出さないで設定する」という機能です。単純な機能ですが、色々な使い道がある便利な機能ですよ。

■「-」を効果とは…

ダイアログボックスの出てくるコマンドは結構な数ありますが、今回は画層プロパティ管理コマンドを例にとってお話しをしますね。

通常、画層プロパティ管理のダイアログボックスを呼び出すコマンドは「LAYER」です。

画層管理のアイコンを調べてみると(ここでは詳しくお話ししませんが)コマンド「LAYER」が組み込まれていて、アイコンをクリックすると、そのコマンドが実行されるという訳です。

ただし、今回はダイアログボックスを出さないというのがテーマです。そこで今回は特別に、アイコンでも短縮コマンドでもなく、コマンドラインにコマンドを全て入力してみましょう。

なお、コマンドのスペルを全て入力することを便宜的に「フルコマンド入力」と呼ぶことにしますね。

通常フルコマンド入力はあまりお勧めできない手法です。いくつもキー入力をしなければならない為、時間がかかりすぎるというのがその理由です。

ですが、今回は例外です。滅多に使わない機能ならば、短縮コマンドにもアイコンにも登録しておく必要がありません。そういった意味で、今回はフルコマンド入力をしましょうとお話ししています。

フルコマンド入力をするといっても、LAYER+Enter又は右クリックでは意味がありません。それではアイコンをクリックするのと同じですからね。

今回はダイアログボックスを出さないという目的がありますから、特別に以下のコマンドを入力しましょう。
-LAYER+Enter又は右クリック

要するにコマンドの前にマイナス記号をつけるだけですが、このマイナスが非常に重要なんです。

通常ダイアログボックスが出るコマンドに限り、コマンド名の先頭に-(マイナス)をつけると、ダイアログボックスが出なくなるんです。

ダイアログボックスを出さなかった場合、基本的にはコマンドライン上で全ての設定を行うことになります。

画層管理コマンドの場合、以下のようなメニューが出てきますから、設定したい項目のアルファベットを入力し、そこからさらに数値を入力し…という流れで作業が続きます。

現在の画層: “0”
オプションを入力
[一覧(?)/現在層の新規作成(M)/現在層変更(S)/新規作成(N)/表示(ON)/非表示(OF)/色設定(C)/線種設定(L)/線の太さ(LW)/印刷(P)/フリーズ(F)/フリーズ解除(T)/ロック(LO)/ロック解除(U)/画層状態(A)]:

今回は画層管理コマンドの説明ではありませんから、ここから先の項目については詳しくお話しすることはしません。あとは色々と調べてみてくださいね。

コマンドライン上で全てを設定するのは、ダイアログボックスに比べて複雑で面倒ですから、恐らく何度も試さないとスムーズに出来るようにはならないでしょう。

でも便利さが分かってくると、何度も試してスムーズに出来るように努力する価値があることが分かるはずです。

■全てはカスタマイズの為に

これはシンプルですが効果の高い機能です。通常の操作ではあまりピンと来ないかも知れませんが、カスタマイズをしたくなってくるとその効果が分かってきます。

基本的にダイアログボックスは作図者の入力を待ち、「OK」などのボタンが押されるまでは作業が止まることになります。これはごく当たり前の話ですね。

でも、アイコンをカスタマイズして「アイコンを押しただけで決められた設定で印刷される」という機能を作りたい場合、ダイアログボックスが出てきては困るんです。

アイコンを押すだけで全ての操作を完了させたいのに、ダイアログボックスが出てきて何らかの入力待ちになってしまっては台無しですから。

そういう趣旨で、ダイアログボックスが出ない為の-(マイナス)機能がある訳です。これは覚えておいて損のない機能です。

というか、-(マイナス)機能の便利さが分かるくらいの知識があるなら、このサイトの内容はあまり役に立たないかも知れませんね。

私も覚えた当初は、どうしてそんな機能があるのか、意味が全然分かりませんでしたから。