オートキャド(AutoCAD)のオブジェクト選択を語る上で、「モード」についての話は絶対に避けて通ることが出来ない部分です。
とは言え、普通の作業をしている限り、あまりモードについて実感することはないかも知れません。私自身も、普段作図をしている時に「今は自動モードだよな」などと思うことはないです。
ですが、やはり知識として知っておくべきですから、この機会にしっかりとお話しすることにします。
■モードとは
「モード」とか言うと、何だか凄い機能を持っているような感じがしてしまいますが、そういう訳ではありません。便利ではあるけれど別に身構える必要はない、ということです。
オートキャド(AutoCAD)のオブジェクト選択モードは全部で4つしかありませんから、覚えるのが大変ということもありません。どちらかというとお手軽な機能と言えるでしょう。
4つあるモードは以下の通りです。
・単一モード
・追加モード
・除去モード
・自動モード
どれもあまり難しくありませんので、これからひとつずつ説明をしていきたいと思います。
■単一モード
単一モードとは、オブジェクトの選択を一度しか行わないモードです。
今までお話ししてきた中では、ほとんどの選択方法で≪一度選択が終わると再び「オブジェクトを選択:」の表示に戻る≫という説明があったはずです。
何度もオブジェクトを選択し、最終的には「オブジェクトを選択:」の状態でEnter又は右クリックをすることによって、選択したオブジェクトが確定されるというパターンです。
でも単一モードではそうはいきません。
例えば移動コマンドの操作中に、移動させるオブジェクトを選択していたとします。ここで交差選択をしてオブジェクトを選択すると、そこで即座に基準点の入力待ちとなるんです。
単一モード…。要するにチャンス(?)は一度きりなんです。
これは慣れないと本当にとまどいます。でも、「オブジェクトを選択:」の状態でEnter又は右クリックをして確定させる、という手間がない為スピードは早いです。
一度で編集したいオブジェクトを選択しなければならないというデメリットがありますが、その問題を克服できれば操作スピードアップが望めます。
ただ白状すると、今説明している私自身がその問題を克服できていません。一度の選択操作で対象をきちんと選択するのは、言う程簡単なことではないんです。
「オブジェクトを選択:」の状態で「SI」+Enter又は右クリックで追加モードになります。
■追加モード
オートキャド(AutoCAD)の規定値はこれです。
先程単一モードについてお話ししましたから、追加モードの概要はすぐに分かると思います。
一度選択が終わると再び「オブジェクトを選択:」の表示に戻る、というのは追加モードの設定なんです。単一モードではチャンスが一度きりですが、追加モードでは何度でもチャンスがある訳です。
単一モードに比べて一手間多いのが難点ですが、選択の間違いなどを考慮すると現実的な手法ではないでしょうか。私は通常このモードを使用しています。
「オブジェクトを選択:」の状態で「A」+Enter又は右クリックで追加モードになります。
■除去モード
これは先程お話しした選択を解除のことを指します。
ただ、大げさに「除去モード」とか言わずに、「Shift」キーを押しながらオブジェクトをピックして選択解除する方が楽です。
これは実際に作図をする上で、間違いのない事実です。
「オブジェクトを選択:」の状態で「R」+Enter又は右クリックで除去モードになります。
■自動モード
これは今までお話しした3種類のモードとは少しタイプが異なります。
オブジェクトを選択するにあたり、モードとしては単一・追加・除去といういずれかのモードになっている必要があるのですが、今回お話しする自動モードはONかOFFかという設定です。
規定値はONです。
自動モードはBOX選択と密接な関係にあります。
自動モードがONになっていると、わざわざBOX選択の際に「BOX」+Enter又は右クリックをしなくても、自動的にBOX選択をしてくれるんです。
「自動的に」というと漠然としていますね。具体的には、画面上のオブジェクトがない部分をピックすると、何のキー入力も必要なくBOX選択の一点目が選択された状態になる、ということです。
もちろんオブジェクトがある部分をピックすると、そのオブジェクトが選択されます。ピックする位置にオブジェクトがあるかないかで、BOX選択を自動で切り替えてくれるんですね。
うまく伝わっているかどうか心配ですが、これは非常に便利な機能です。というか、BOX選択は自動モードがONになっていて初めて真価を発揮します。
ですから自動モードは必ずONにしておきましょう。
■モードのまとめ
モードについては以上です。
あまりモードについて実感することはないかも知れない、という話を最初にしましたが、それは規定値が「追加モード+自動モード」という適切な設定になっているからです。
ただ、知識として知っておかないと、何かの拍子に設定が変わってしまった場合に手も足も出ない状態になってしまいます。
それでは困るので、作図者としてはやはり概要だけでも覚えておく必要があるんです。様々なトラブルに対処できるというのは、それだけで価値がありますから。