ある講習での出来事…

マウスのクリックについてお話ししていたら、ずいぶん昔に参加した三次元CADの講習のことを思い出してしまいました。

あまり参考にならないかも知れませんが、「こんな講習もあるんだ…」ということで、今回は余談的な話をしたいと思います。



■講習を受けるのなら



これはかなり前の話で、当時の三次元CADはお世辞にも高性能とは言えないものが多かったんです。そんな時代の話です。

「三次元で作図ができます」という根本的な項目だけしかセールスポイントがないCADも見受けられました。もちろん今は違うんでしょうけど…。

それでも、私が所属したいた会社では「これからは三次元だ!」という方針のもと、私が代表して講習に参加することになりました。

三次元に関しては、個人的にはまだ早いような気がしていましたが、まあ会社の方針には逆らえません。

講習を受けるだけで決して安くない(というかとっても高い)金額がかかりますから、それが無駄にならないように、私は入念な準備をしました。

ソフトの説明書を一通り読み、操作を実際にやりながら分からないところをメモし、もう一度説明書を読みました。今まで私がお話ししてきたことを、地道にやった訳です。

それでも分からないところだけピックアップして、当日講師に質問をしようと考えていました。こうすれば、講習から帰ってきた時には一通り操作ができるはずです。

■いったいなんの講習なのか



ところが…

当日の朝、指定された教室に行くと、どうも様子がおかしいんです。違和感があるというか「本当にこれから講習なの?」という感じです。

この違和感は何なのか?きょろきょろと廻りを見渡した結果、答えはやがて出てきました。

受講生の平均年齢がかなり高めなんです。年齢で差別する訳ではありませんが、技術の吸収が早いはずの若い人があまり見当たりません。

中には見るからに社長っぽい貫禄のオジサマもいたりします。こんなメンバーで大丈夫なの?という不安と共に、講習はようやくスタートすることにまりました。…本当にいいの?

そして開始直後。講師のお姉さんがまず最初に確認をします。

「今日は○ー○○○○○(←CADの名前)の講習ですけども、今日はじめて○ー○○○○○を使う、という方は手を挙げてください」

するとザザザっと、ほぼ全員が手を挙げるではありませんか。おおっ?何これ?見る限り手を挙げていなかったのは私だけのようです。

いやいや壮観というか何というか…。私の不安は見事に現実のものとなったようです。まずはマウスのクリック方法から始めなきゃならない?という雰囲気がビシバシと漂っています。

クリック→ダブルクリック→ドラック→CAD起動と、徐々に内容はレベルアップ(?)していきましたが、開始から30分くらいまでは普通のパソコン教室でしたよ。はは…。

何の為に高いお金を払っているのか、という疑問を持つ人は教室の中にはいないようです。そうして当たり障りのない内容のまま、貴重な二時間が過ぎていったのでした…。

■質問の雨を…



このまま帰っても仕方ないので、講習が終わった直後に講師をつかまえて、とりあえず質問攻めにすることにしました。

ちょっとイヤな顔をされましたが、目的だけは達成しないと、今度は私がピンチになります。会社に戻ったら、今度は私が教える側になりますからね。

一度講習に行けば完璧に使えるようになる。当時の私の上司はそう信じていましたから、少しでもその期待に応えなければと私は考えていました。

なので、こんなヤワな講習で満足する訳にはいきません。他の人は皆、とても満足そうに帰っていきましたが…。そんなことは知ったことではありません。

彼らは事前に準備をしていないので、今日覚えた内容を、翌日には半分くらい忘れているでしょう。最終的に身に付くものは限りなくゼロに近いはずです。

基本的には、自分が疑問に思ったことでなければ、教わってもすぐに忘れてしまうんです。

あとはただ、何となく自分のスキルが上がった「雰囲気」だけが残る訳です。何とも贅沢なお金の使い方です。

という訳で、もしあなたがスクールとか講習を受ける気があるのでしたら、投資するお金に見合うだけのリターンを得られるように、ある程度の努力をすることが重要です。

努力とは、一言でいえば「予習」です。自分で勉強をしたことについて、分からなかったことをスクールで補っていく、という姿勢がベストだと私は考えています。

「そんなこと分かってる」と思うかも知れませんが、分かっているから実行できる、という訳ではありませんよね。恐らく半分以上の人は予習などしないと思います。

なので、やるべきことをきちんとやっただけで、あなたは他の人に十分な差をつけることができる訳です。

スクールといっても中学高校などの学校とは訳が違います。何となく通っているだけでは、せっかくのスクールがもったいないですからね。

<< トップ >>
サブコンテンツ

このページの先頭へ