図面を手で描いた場合…いわゆる手描き作業と比較して、オートキャド(AutoCAD)は便利になっているのでしょうか。今回はそのあたりを考えてみたいと思います。

手描きに比べて便利になっているなら問題ないのですが、逆に不便だったり面倒になっていたりする可能性もある訳です。

手描きよりもオートキャド(AutoCAD)が不便であるのなら、そう遠くない将来に、もっと別の方法へと変わっていくでしょう。不便なツールを使い続ける程、仕事は甘くありませんから。

そうなると、今からオートキャド(AutoCAD)を覚えても意味ないかも…と言うことになるかも知れません。そうなると、サイトの存在価値が限りなくゼロに近くなってしまいます。(涙)

という訳で、本当に覚える価値のあるスキルかどうか、この際はっきりとさせる為に、当面のライバル(?)である手描きと比較をしてみましょう。

■手描きの特徴-1

1.作図自体に熟練が必要
当たり前の話ですが、全ての作業は手で処理します。なので、線を引いたり文字を記入したりする為に、かなりの技術と熟練が必要になってきます。

自分でやってみると本当に良くわかりますが、これがなかなか難しいんですよね。一本の線を同じ太さで、きちっとまっすぐ引くのはかなり大変です。

しかも細い線や太い線でメリハリをつけながら、なおかつ一本一本は同じ太さで、です。自分が相当な不器用なんじゃないか、と思ってしまうくらいに打ちのめされます。そうそう上手くはできません。

線でその状況なのですが、文字はそれ以上に難しいです。高さを揃えながら水平に、読みやすい文字を書いていくのは結構大変です。個人的には「至難の業」と言いたいくらいです。

余談ですが、私は文字書きが苦手です。要するに字がキタナイんです。最近はオートキャド(AutoCAD)で図面を作図していて、手描きは全くやっていませんから、私の文字書きスキルは下がる一方です。(汗)

でも、めげずに練習をして熟練すると、非常に綺麗な図面を書くことが出来るようになります。これは本当です。
手描きの上手な人は、文字が本当にきれいです。人を見た目だけで判断してはいけないのですが「こんなおっちゃんが何故?」と思うくらい、字がきれいなおじさんもいます。

…と思いきや、それは本番専用らしく、打合せとかFAXとかの字はすごいことになってます。えっと、きたなすぎて読めないんですけど。(汗)

手で上手に描かれた図面は、見ていて気持ちいいです。大げさに聞こえるかも知れませんが、感動することだってあります。いや、本当ですよ。

■手描きの特徴-2

2.修正の手間がかかる
どんなジャンルでも共通して言える話ですが、図面には修正がつきものです。描いては修正、というがパターンが多いと思います。

ですが、手描きだと一度書いた線を消すことが難しい(というか面倒)です。電動消しゴムと字消し板を駆使して、ひたすら地道に消していく訳ですが、かなり地味な作業です。

どんどん図面を消していくと、時々消さなくても良いところまで消してしまうハメになります。これはありがちな失敗ですが、非常にツライです。消してしまった部分は改めて描き直しですから…。

また、消しゴムを使いすぎると、消しカスがすごいボリュームになってしまいます。消しカスをはらう為の刷毛や羽が、れっきとした製図用品として販売されているのはそういう理由です。

単なる羽が800円くらいします。ちょっと高すぎ!と思うのは私だけでしょうか。

そういえば、まだ手で図面を描いていた頃、会社に新しく入ってきた女の子に、消しカス掃除用羽の使い道についてこのように質問されたことがあります。

「何に使うんですか?この羽。これじゃ空を飛ぶことしかできませんよね

なんと答えたかは忘れましたが、アドリブが苦手な私はきっと気の利かないことをぼそぼそと答えたのだろうと思います。というか、上手な返しってどんな答えなんでしょうか…。

全然関係のない話になってしまいました。スイマセン。ここで話を戻してまとめましょう。

図面を修正する前には、まず線などを消すことから始める事になる訳ですが、手描きだと消す作業自体が大変、ということになりますね。

■手描きの特徴-3

3.原本しかない
手描きの場合、基本的にその図面は1枚しか存在ません。紙ですから当然と言えば当然です。

なので、最後まで1枚の図面を利用していくことになります。消しては描き、描いては消し、の繰り返しですね。

もちろん修正の必要がなくなる日はやってきますし、図面を描くことを仕事にしている以上は、そこが目標な訳ですが。

そして、あまり消しすぎると「ビリッ」ときます。ひぇぇぇぇ(泣)はっきり言ってこれは悪夢です、はい。破れてしまった図面を泣く泣く補修したこともあったなぁ…(遠い目)

ビリッと破れたのならテープで貼ればまだ使えますが、コーヒーなどをこぼしてしまう場合もあるでしょう。これはちょっと最悪なパターンです。

紙はやわらかくなってしまい色がつく、鉛筆の線はぼやけて見づらくなる、変なにおいがつく、などと良いことはひとつもありません。

コーヒー以外にも、よだれとかラーメンの汁とか諸々あるかと思います。手描きの場合は、その1枚の図面が命です。くれぐれも「汁物」には注意しましょう。

■手描きの特徴-4

4.ちょこっとした修正が楽
先程お話ししたように、修正自体は消すことから始まるので結構大変です。

ただ、本当にちょっとした修正、例えば数字を1個だけ間違えたなどというような場合に限れば、手描きは話が早いです。

ささっと消して、書き換える。これで作業は完了です。ものの1分で終わってしまうハズです。パソコンを使うとそうはいきませんから、このあたりは手描きの方が有利ではないかと思います。

■まとめ

今までお話ししてきた手描きの特徴をまとめると、だいたい以下のようになると思います。
・線を引いたり文字を記入する為に、高い技術が必要となる。
・図面を修正する以前に、消すのが大変。電動消しゴム用意!
・図面は基本的に1枚のみ。汁物は要注意。
・ちょっとした修正なら早い。ささっと記入できます。

こうやって見ると、もう手描きは大昔の作業のような気がしてきます。消しゴムのカスを払う為の刷毛や、鉛筆で描いた線をこすっても大丈夫なようにする定着スプレーなど、色々なツールがCADにとって替わられているんですね。

懐かしくもありますが、懐かしいだけじゃダメなんですよね…。やはり仕事ですから、効率を考えなければいけませんし、効率を考えると今さら消しゴムじゃないんでしょうね。

という訳で、今回は手描きの特徴をお話ししたので、次回はオートキャド(AutoCAD)の特徴についてお話ししようと思います。