次にCADの特徴についてお話しをしたいと思います。これはオートキャド(AutoCAD)だけに限った話ではなくて、CADの全体的な特徴という感じでお話ししていきます。

また、前回お話しした内容と対比した形で進めた方が分かりやすいでしょうから、そうした感じで進めていきましょう。

では…

■CADの特徴-1

1.作図自体に熟練はあまり必要ない
まずは線などを引く技術。これは手描きと違い、CADの経験年数に関わりなく、誰でもまっすぐで均一な太さの線を引くことが出来ます

線を引く為に必要なのは、線分(LINE)というコマンドの種類と、印刷の設定方法、たったこれだけです。

これさえ知っていれば、覚えたてほやほやの初心者でも、経験10年のベテランと同じ線を引くことが出来ます。あくまでも線が引けるだけ、というレベルですが、手描きに比べてずいぶん楽なスタートだと思います。

ベテランとしてはちょっと微妙な心境ですが、こればかりは仕方がありません。

もちろんオートキャド(AutoCAD)で綺麗な図面を描くコツはあります。というか、そのポイントを押さえないと、何となく全体的に締まらない感じの情けない図面が完成してしまいます。

綺麗な図面を描くコツは、作図スピードと同じくらい重要だと私は考えています。なので、もう少し後でじっくりと話をしたいと思っています。

図面の表現方法に関しては、私は特に細かい(あるいは細かすぎる)とまわりから言われます。だからお話ししたいことが本当にたくさんあるのですが…。まあ後でということで。

全体的な話ではなくて1本の線だけで考えると、太さが均一できれいな線を、「誰でも」描くことが出来るというのがCADの大きな特徴でしょう。

文字も同様です。使用するフォントは大体決まってくるので、誰が文字を記入しても結果は同じです。必要なのはDTEXTやMTEXTなどの文字記入コマンドと、フォントの名前だけです。

あ、でも、変換の間違いが発生するのはCADぐらいですか…。これはパソコンならではの問題点です。

「女子更衣室」という室名を入力しようとして「女子校異質」になったり「女子行為室」とかになったり。ウケを狙っている訳ではなくて、これは本当にあった話です。

まあその他色々ありますよね。これはCADに限らないので、きっとあなたにも経験があるかと思います。

■CADの特徴-2

2.修正の手間は?
次に修正についてですが、修正の作業自体の手間は手描きの場合と変わりません。変更する前の図面を部分的に消し、新しい情報を書き込む。これは図面修正では絶対に必要です。

この手順がなくなることは多分ないと思います。もしなくなるようでしたら、人間の手による修正が必要ないということになります。つまり、私もあなたも明日から仕事がありません。(汗)

図面修正の手順は変わりませんが、CADでは線や文字を消すことが簡単にできます。

当然消したあとも残りませんし、消しカスも出ませんので掃除用の羽も必要ありません。私は未だに羽を持っていますが、使い途がないです…。

CADの良いところはこのあたりにあるんですよね。紙なのかデータなのか、という違いですが、消すことに関してはやはりデータの方が有利ではないかと思います。

■CADの特徴-3

3.原本はどこにあるのか
CADは手描きと違い、紙ではなくデータで図面を管理します。紙とデータ。これは非常に大きな違いです。

データは自由にコピーすることが可能ですから、修正する前のデータと修正した後のデータを両方残しておく、ということも楽に出来ます。

このあたりの使い方は、使う側の知識とテクニック次第でどうにでもなります。

ただし注意が必要な点がひとつだけあります。間違ってデータを消してしまうことも「時には」ある、ということです。

データは紙と違い、跡形も残らない場合が多いです(泣)。データの有利な点が裏目に出るのはこういう場面ですね。

ですから、データの管理は非常に重要なポイントになってきます。下手をすると何日分かの作業が一瞬で吹っ飛ぶという大惨事が発生します…ひぇーっ。

目の前が真っ白になるという悪夢を一度体験してみたい!という奇特な方なら別ですが、一般的にはデータの管理をきちんとすることが必要になってきます。

ちなみに、同じ図面を(消えてしまった為)もう一度作図しなおすと、2回目は前回に比べてかなり速く終わる、という事実を発見できます。

私は何度か体験済みですが、あまり体験して欲しい種類のモノではありません。

■CADの特徴-4

4.ちょっとの修正でも…
CADでの図面作図が完了し、いざ印刷して使う段階になると「何これ?」となることも結構あります。数字1個だけ間違えてたり、よくある話です。

そうするとCADでは、CADソフト立ち上げ → 図面を開く → 図面をちょこっと修正 → (必要なら)もう一度印刷 → データ保存 → 終了 という手順が必要になります。

言うまでもありませんが、数字1個だけ修正するにしては手順が多すぎて面倒なんですね。

でも、これをやらないで、とりあえず印刷された図面だけを修正してごまかすと、さらに修正が出てきた時に訳が分からなくなってしまいます。

紙の図面とデータとで情報が違ってくる訳です。何日かすると、どちらが正しいのか絶対に思い出せなくなります。人間の記憶は自分が思うよりも不正確なんです。

こうなると、いろんな情報がゴチャゴチャになってしまうんですね。はっきり言って最悪の状態です。作図者として、これだけは避けなきゃダメです。

印刷した図面を修正した場合は必ずその場でデータも修正しておく、というクセを意識してつけておくことをオススメします。今できることはすぐにやる姿勢が肝心です。

■まとめ

オートキャド(AutoCAD)の特徴はこんなところです。手描きの時と同じく、簡単にまとめてみましょう。
・線や文字を記入する技術はあまり必要とされない。
・文字変換間違いには注意が必要。恥をかく事も…。
・図面修正の手間は同じでも、消す作業は非常に楽。
・データ管理をしっかりとすれば、活用の巾が広がる。
・ちょっとの修正でも印刷し直しをすることになる。

CADを使うことによって、手描きでは出て来ない問題が発生してきます。

特に文字の変換間違いはよくある問題です。笑える誤変換を発見するのは、ある意味楽しみではあるのですが、やはり仕事ですから笑ってばかりはいられません。

余談というよりもどうでもいい話ですが、徹夜が続くと大抵の人は笑い上戸になるんですよね。そんなときにヘンな変換が出てくると、全員笑いが止まらなくなってしまいます。

本人達は楽しいのですが、ちょっと異様な風景なので周りの人は確実に引きます。うーん、恐ろしや…誤変換。