前回お話ししたように、今回はオートキャド(AutoCAD)で練習用の図面に新しくレイヤーを追加してみましょう。

おおまかな作業の流れはこんな感じになると思います。

①図面を見て、どんなレイヤーを作るか考え、レイヤー名を決める

②各レイヤーに入るオブジェクトの線の太さを考え、色を決める

③線種は実線で良いかを確認し、必要に応じて線種をロードする

④実際に画層管理画面でレイヤーを作成する

今までにお話しした部分も少し含んでいますが、とりあえずは最初の項目からひとつずつ行きましょう。それぞれの項目はそれほど難しい話ではありませんよ。

■手順1.レイヤー名を決める

まずは、どんなレイヤーを作ればいいか。これを考えてみたいと思います。手始めに、作図する予定の図面をちょっと眺めてみましょう。

あなたが作図するなら、レイヤーはどの程度に分かれていればいいと思いますか?この後で実際に作図する訳ですから、自分でじっくりと考えてみることをオススメします。

こういった作図手順がらみの方法について言えば、完全な正解というやつは存在しません。逆に言えば、作図者として工夫のしどころがたくさんある、ということになります。

どうすれば便利かを考えて、今のうちから自分で考える癖をつけておきましょう。これはとても大切なポイントです。

ただし、自分が作業しやすければOKかと言うと、これがまたそういう訳でもないです。ここは注意が必要です。ひとりで突っ走ってはいけません。

自分がやりやすくて、なおかつ他の人にも分かりやすく。これが正解に近い考え方じゃないかと思います。実際にはなかなか難しいですが、他の人にもわかりやすくしようという気配りが大事なんですね。

全ての人に分かるようにしたいのは山々なんですが、そんな完璧さを目指していると永遠に作図にかかれません(汗)から、ほどほどにしてレイヤーを決めてしまいましょう。

例によって前置きが長くなりました。(汗)

実際に図面をみたあなたは、今回の図面にどの程度レイヤーが必要だと思いましたか?

でも残念ながら、これを書いている時点で、あなたの意見は私には分かりません。なので、ここでは私の考えを書いていきたいと思います。

参考にしたりしなかったり、色々比較をしてみると新しい発見があるかも知れません。

・通り芯
通り芯です。ってそのままですね。(汗)また、通り芯と一緒に通り芯番号と通り芯間の寸法線もこのレイヤーに入れます。これらはセットなので、レイヤーを分ける意味がないと私は考えています。

・壁芯
通り芯ではない壁の中心線を壁芯と呼びます。これは通り芯とレイヤーを分けて方がいいと考えています。通り芯は特別な芯ですから、他の芯と一緒のレイヤーでは使い勝手が悪いです。

・建物の壁
建物を構成する壁の線です。これは当然壁芯とはレイヤー分けをしておいた方がいいでしょう。

・扉
扉や引き戸を構成する線です。今回に限っては、壁のレイヤーと同じとしても影響はなさそうですが、念のため分けておきました。このあたりは好みもあると思います。

・部屋名
文字通り、部屋の名前です。これは芯や壁とは別にしておいた方がいいと思います。

・その他の文字
部屋名以外の文字です。部屋名と同じレイヤーで作業する人もいると思いますが、私は分けた方が後々で役に立つと考えています。

・寸法線
寸法線です。またそのまんまですが。寸法線は文字とは別のレイヤーとしておいうたほうが便利です。また、先程も言いましたが、通り芯間の寸法だけは通り芯レイヤーに入れておいた方が便利です。

・机や椅子などの家具
壁とは趣旨が違うので、これは分けておいた方がいいです。この次あたりでお話ししますが、線の太さを分ける意味もありますので壁レイヤーとは分けておきましょう。

・壁の塗りつぶし
壁の中の塗りつぶしは、作業中は邪魔なので表示しない方がいいです。こういう時の為にレイヤーを分けるんですね。

・図面枠
図面枠は他のどのレイヤーとも一緒にしない方がいいです。通り芯もそうですが、図面枠も特別な要素ですから、独立したレイヤーとすることをオススメします。

今回の図面では、だいたいこんな感じにレイヤー分けをしておけば大丈夫だと思います。あくまでも私の意見ですが、今までの経験から考えても無難なところです。

なので、上記の分け方とはかけ離れた方針でレイヤーを分けても不便なだけだと思います。

また、レイヤー名については、わかりやすく日本語で良いと思います。

はるか昔はレイヤー名をつけるのに半角英数字しか使えませんでしたが、今はもちろんそんなことはありません。なるべくわかりやすい名前をつけてあげてくださいね。

レイヤー名で気をつけた方がいいのは、「雑」など漠然とした名前をつけてはダメだということです。「雑」という名前のレイヤーには、何を入れても問題なさそうです。一見便利そうですが、実際は不便です。

なぜ不便なのかは、レイヤーを分ける意味を考えて頂ければ分かると思います。雑レイヤーに色々訳の分からないデータを入れるのなら、レイヤーを分ける意味がありませんよね。

また逆に、あまり細かく分けすぎるのも避けた方が良いでしょう。たくさんのレイヤーに細分化しすぎると、1個のレイヤーに1個のオブジェクト(極端な話ですが)になってしまい、これもまたレイヤーを分ける意味がありません。

何事もほどほどに、ということですね。

長くなってしまたので、レイヤーの色設定の話は次回にしたいと思います。