前回は線のピッチの調整方法として、グローバル線種尺度の設定についてお話ししました。

この尺度を設定して、印刷された図面できちんと線種が判別できるようにする、という考え方です。

でも、ここで「尺度の単位は何になっているか」という点について考えて頂きたいと思います。

オートキャド(AutoCAD)は日本だけではない

オートキャド(AutoCAD)にはメートル系とインチ系、2系統の単位が設定できるんです。日本に限らず、たくさんの国で利用されているので、どちらにも対応しているんですね。

なので、線種をロードする為の線種ファイルも、メートル系とインチ系の2種類が存在します。線種ファイルというのは、線種の情報が入ったデータのことで、「 .lin 」という拡張子で表されます。

日本はメートル系が標準ですから、「ACAD.lin(インチ系の線種ファイル)」ではなく「ACADiso.lin(メートル系の線種ファイル)」のファイルを使用するのが一般的です。

上記はオートキャド(AutoCAD)の場合です。LTの場合は「ACLTiso.lin」となります。どちらを使用しているかは、ダイアログボックスのファイル欄を見ればわかりますから、まず始めに確認をしてみましょう。

オートキャド(AutoCAD)の初期設定はインチ系ですから、線種をロードする段階で設定を変えることをオススメします。

■たとえ間違いだとしても

ただし、これはあくまでも一般的な話です。あなたが所属する会社、または取引先がインチ系の線種を使用している場合は、迷うことなく同じ設定で(←重要!)作図してくださいね。

線種やハッチングにおけるインチとメートルの違い、というのは一見してわかりにくい設定です。オートキャド(AutoCAD)使用者でも、中にはそんな設定など気にしない(又は知らない)方も多いと思います。

かく言う私も、3年ほどインチの設定で作図をしていた時期がありますから。私の場合は、そんな設定があることすら知らなかったんです。

ですから、そこであなたが「本当はメートルなんですよ」と言ってもあまり意味がありません。自分だけ違う設定にしても仕方がありませんので、その場合はあなたもあわせましょう。

一番良くないのが、それぞれが好き勝手にやってしまい、インチとミリの設定が混在してしまうことです。こうなると図面によって自分の頭の中を切り替えなければならなくなります。

でもそんなことは現実的に不可能ですから、結果として、線のピッチがおかしな図面をどんどん印刷してしまうことになってしまいます。これはちょっと最悪の結果です…。

そうならない為に、メートル系でもインチ系でもこの際構いませんので、少なくともあなたの作図する図面に関してだけでも統一をするように心掛けてくださいね。

結果として、いくつか統一されていない図面が発生するかも知れませんが、それは仕方がありません。

あなたがそのあたりの設定を統一しようと考えているか、あるいは考えていないか。こちらの方がもっと重要ですから。

■設定の変更方法

ここで、オートキャド(AutoCAD)の図面上でメートル系とインチ系をコントロールするコマンドを紹介します。

正確にはシステム変数と呼ばれます。システム変数とは、特定のコマンドの動作をコントロールする設定のことです。

この設定を変えることにより、様々な設定を変更することが出来ます。システム変数はたくさんありますが、今回はその中から2つだけ紹介したいと思います。

■システム変数:MEASUREINIT

この変数には0か1が入ります。この数字によって、図面を新規作成する際に使用する、線種及びハッチングパターンファイルをコントロールします。

0:インチ系の線種・ハッチングパターンファイルを使用。
1:メートル系の線種・ハッチングパターンファイルを使用。

システム変数とは言っても、特に他のコマンドと変わることはありません。設定方法は下記の通り、とっても簡単です。

① コマンド待ち状態で「MEASUREINIT」と入力しENTER
② MEASUREINIT の新しい値を入力 <1>:

上記のような表示となるので、現在の設定(<>内の数字)を確認し、必要に応じてそのままENTERか1と入力してENTER

③ 設定完了。簡単ですね。

では次のシステム変数です。

■システム変数:MEASUREMENT

このシステム変数は、先程紹介した 「MEASUREINIT」 とほとんど同じ設定です。なので詳しい設定方法などは省略しますね。

では、何が違うのかというと、MEASUREINITは新しく作成する図面に対して有効な設定であること、そしてMEASUREMENTは既に作成された図面に対して有効な設定であること。この違いです。

どちらかというと、このMEASUREMENTの方がよく使われるとは思いますが、まあどちらも1に設定しておくのが無難でしょう。

今まで使っていたハズのハッチングパターンが急に細かくなったり粗くなったりとか、線種のピッチが急に細かくなったり粗くなったりとかしたら、まずはインチ系とメートル系の設定が変わってしまったのでは?と疑ってみてください。

一度設定をしたつもりでも、時々何かの拍子で戻ってしまうことがあります。特に、エラーが出て図面の修復をした場合、インチ系の設定に戻っていることが多いです。

おかしい!と感じたら、まずはこれらのシステム変数を確認してみてくださいね。確認するのは簡単ですからね。