オートキャド(AutoCAD)のデータ形式、拡張子、バックアップコピー、自動保存ファイルなど、データに関しては今まで一通りお話しをしてきました。
ここまできちんと読んだ方なら、オートキャド(AutoCAD)のデータ保護の重要性はよく理解して頂けたかと思います。
で、今回は、実際にはどの様な状況でデータが失われるのかを少し考えてみることにします。今回の話を反面教師にして、どうやってデータをきちんと保管するか、自分なりに考えてみてくださいね。
…とはいえ、こういう話ってなかなか集められないので、結局は私の体験からお話しするしかありません。
自慢じゃありませんが(←自慢どころか恥ですが…)、私は経験豊富なだけあってデータをなくした経験も豊富にあります。ははは…
また恥をさらしてしまいますが、もうあまり気にしないことにして、今までの記憶を掘り起こしていきたいと思います。
ちなみに、全て私がやったことではなくて、私の同僚がやらかしたものも「中には」ある、という事だけ念のため申し添えておきますね。
■原因1.フェータルエラー
個人的には、オートキャド(AutoCAD)の中でエラーの王様だと思っています。今まで数え切れないくらいフェータルエラーにはやられています。
普通に操作をしていて「何か遅くなったな…」と思っていると、画面中央に突然エラーメッセージが出てきます。もう慣れてきたので今さら驚きませんが…。
最近は直前に何となく雰囲気で分かるようになってきました。操作していて一瞬の違和感があると「来る!」という感じがして、それから0.5秒くらい経つと「フェータルエラー」と出ます。
何となく凄いように聞こえますが、「来る!」と思うのとエラーが出るのはほぼ同時刻なので、あまり役に立ちません。もっと言うと、全然役に立ちません。
対処方法を書きたいところですが、これと言って具体的にはないんですよね。今までの経験からすると、印刷・ペーパー空間でのビューポート編集・外部参照・文字編集等の操作の時が危険です。
なので、特に印刷する前などは、防御策としてデータを保存することにしています。
でも、保存し忘れた時に限って出るんですよね…。
■原因2.その他エラー
これもフェータルエラーと同じです。ただ単にエラー名が違うだけですね。
フェータルエラーの場合もそうなんですけど、エラーでオートキャド(AutoCAD)が強制終了してしまう際に「今までの作業を保存しますか?」と聞いてくることがあります。
そうすると、最後の力を振り絞って(?)そのデータを保存してくれるので、データが助かる場合があります。
この場合、保存したファイルを開く際にデータの修復が必要になりますが、自動でやってくれるので特に問題ありません。なので、保存するか聞かれたら迷わず「はい」と答えておきましょう。
■原因3.突然落ちる
これは私も今までに数えるくらいしかないのですが、作業していると突然何の前触れもメッセージもなくオートキャド(AutoCAD)が終了してしまうことがあります。マジです。
という話をしても、一般的な常識の範囲外なのでなかなか信じてもらえません。またまた~そんなことあるわけないですよ、となってしまうんですね。
これを経験すると、今実際に何が起こったのか、しばらく分からなくなります。茫然自失とはこういう状態を言うのでしょう。
私の場合、自分の目の前で突然落ちるパターンと、オートキャド(AutoCAD)を開いたまま打合せに出席し、席に戻ったら終了していたパターンの2種類経験しています。
後者に関しては、私が見ていない場所での人災の可能性もあります。ひょっとしたら、私には敵が多いということなのかも知れません。
補足:これを書いたのは結構昔だったのですが、最近はこのパターンが非常に増えてきました。
特に文字編集をしている際に、何の前触れもなくオートキャド(AutoCAD)が終了してしまうパターンです。
「ん?」と思った瞬間にオートキャド(AutoCAD)は終了し、やや呆然としながらデスクトップの壁紙を眺めているような状況ですね。
使っているオートキャド(AutoCAD)のバージョンが悪いのか何なのか…ちょっと勘弁して欲しいです。
■原因4.停電
これも結構あります。というのも、私の仕事場は建設現場が多いからでしょう。現場の電源は当然仮設電源ですから、一般的な電源に比べて不安定です。
そして時々「電気引込の盛替え」などによって停電になる場合もあります。
ただ、普通の事務所で働いているのならば、停電についてはそれほど心配する必要はないと思います。
■原因5.落雷
何それ?と思う方もいるかも知れませんが、実際は結構あるんです。私の個人的な考えですが、雷の音が聞こえたら迷わずデータ保存だと思っています。
どこかに落雷 → 一瞬電源が切れる → 元に戻る → パソコン再起動 というパターンが時々あります。
これも実際目の当たりにすると、茫然自失状態に陥りがちです。要注意です。雷の音を聞いたら、何はともあれデータの保存です。
■原因6.フリーズ
オートキャド(AutoCAD)ではなくて、パソコンが止まることもあります。昔はフリーズしたなどと言いましたが、今でもそう言うのでしょうか。
この問題はOSがWindows2000になってから、あまり出なくなりました。やっぱり2000は安定しています。ちなみにXPはまだ使ったことないのでわかりません。
■原因7.ハードディスク故障
これはバックアップのお話しをした際に、具体的な説明をしました。ハードディスク本体が壊れると、こちらとしては全く手も足も出ない、という状態になってしまいます。
なので、データのバックアップはしっかりと取っておくことをオススメします。本当は「オススメ」とかいう優しいな表現じゃなくて、絶対にやって欲しいところですが…。
■原因8.保存し忘れてオートキャド(AutoCAD)を終了
せっかく作図した図面のデータを保存しないまま、オートキャド(AutoCAD)を終了してしまう。
これは天災ではなく、どう考えても人災です。しかも原因は自分…。
そんなことするはずない!と皆が言うかとは思いますが、実際はあるんです。恐ろしい話です。特に、同時に何枚も図面を開いて作業をする人にありがちなトラブルです。
今作図している図面の参考として、他の図面を同時に開くことは日常的にやっていることです。
そして、参考にしている状態が終わったら順々に図面を閉じていく訳ですが、この時に今作図している図面も一緒に閉じてしまうんです。
参考に開いた図面は、基本的に保存しないで閉じることになりますが、閉じる → 保存しますか? → いいえ という流れを何度も繰り返すうちに、肝心な図面でも同じことをしてしまいます。
自分はそんな迂闊なことはしない、と思うのは自由ですが、気をつけるに超したことはないですよ。
自分で言うのもアレですが、私はかなり用心深い性格をしています。でも、保存しないでオートキャド(AutoCAD)を終了させてことは、何回もあります。
冗談は抜きにして、ホントに気をつけた方がいいですよ。データ消失の原因がオートキャド(AutoCAD)でもパソコンでも電源でもなく、自分にあるというのは結構ツライものです。
データ消失状況の中で、代表的なものはこんな所だと思います。かなり情けない話が多いですが、作図したデータを消してしまうのですから、そんな話がカッコイイはずはありません。
いま我々に出来るのは、今までの経験を元にして防御策をとることだけです。それが出来るだけでも、私の体験談は決して無駄ではないと思っています。
という訳で、私のやらかした失敗があなたのスキルと経験を高める為の踏み台となることを願いつつ、この恥ずかしい話は終わりにしたいと思います。