今回はレイヤーについてお話しします。オートキャド(AutoCAD)を使う上で、レイヤーは非常に重要な要素ですから、しっかりと覚えておきましょう。
■レイヤーとは何なのか
レイヤーとは画層とも呼ばれます。オートキャド(AutoCAD)側ではどちらの表現も使っていますので、多分どちらでも良いのでしょう。
漢字にしただけではあまり変化がないかも知れませんが、レイヤーと呼ぶよりも雰囲気は伝わるのではないかと思います。
画層とは、画(CADの図形や文字が)層(重なっている)というような意味になります。要するに何かが重なっている状態なのですが、では何が重なってるのでしょうか。
画層について良く言われる表現で説明をすると、透明なフィルムが重なっている状態、ということになります。何となくイメージできるでしょうか。
透明なフィルム1枚が1つのレイヤーであり、全てのフィルム、つまり全てのレイヤーを重ねる事によって、1枚の図面が出来上がります。
透明なフィルムというくらいなので、レイヤー自体をいくつ重ねても図面は出来上がりません。線や文字などのオブジェクトを入れることで、始めて図面が構成されていきます。
逆に、線を引いたり文字を記入したりする作業は、必ずいずれかの透明なフィルム上でやる必要があります。
レイヤーのイメージはこんな感じです。大まかでも良いので、概要は何となく掴めたでしょうか。
■どうしてレイヤーがいくつも必要なのか
どうしてレイヤーが数多く必要なのかと言うと、レイヤーがあった方が管理がラクだからです。これ以上の理由は存在しません。
管理がラク、というのはちょっと控えめな表現で、実際はレイヤーがないとまったく仕事になりません。作図や印刷の手間がもの凄くかかってしまいますから。
印刷の為の色設定(これは次回にお話しします)、レイヤー毎の表示・非表示・ロックの設定。これらの機能がない状態で作図する事を考えると、ちょっと怖いです。
少なくとも私はそんな状態ではやりたくないです。レイヤーという機能がないのなら、それはCADではなく単なるお絵かきソフトです。仕事では使えません。
そのくらい重要な機能だと言うことですね。
■具体的にはどんな機能があるのか
レイヤーが持つ機能はいろいろありますから、ここでは箇条書きにしていきたいと思います。
①OFF
任意のレイヤーを表示させなくする機能です。邪魔なレイヤーを表示させない、という方法をよく使います。
それをさらに進めると、表示させたいレイヤー以外は全て非表示にする、という使い方に発展します。
②フリーズ
OFFと同じく、任意のレイヤーを表示させなくする機能です。…では何が違うのか。
OFFはただ見えていないだけで、データは存在していてます。それに対してフリーズはデータも触れなくします。その代わりに表示にかかる時間が短くなります。
例えば図形選択で「全体」を選んだ場合、OFFだと表示されていなくても選択はされますが、フリーズでは絶対に選択されません。
なので、ちょっとの間非表示にしたい場合はOFF、当分そのレイヤーは使用しないのであればフリーズ、という使い分けが一般的です。
ただ注意したいのは、表示されていないので存在を忘れがちだと言うことです。とにかくフリーズすると選択してくれないので、絶対に忘れないよう注意が必要です。
フリーズしたのを忘れて図形全体を少し移動してしまい、全てのレイヤーを表示させたとき(当然フリーズしていた画層は移動されていないので)愕然としたことが何回もあります。
③ロック
ロックの状態にすると、そのレイヤーのオブジェクトは選択できなくなります。移動も、消去も出来ません。でも、とりあえず表示はされます。
基準の位置など、表示させたいけど動かしたくない場合などに使います。OFF+ロック=フリーズ、という関係で覚えておくとわかりやすいです。
④色
そのレイヤーの色を設定します。オブジェクトの色が「ByLayer」となっている場合、ここで設定した色が表示されます。
⑤線種
同様に線種です。これは色と一緒ですね。
⑥線の太さ
私は使用していません。ずっと初期設定の「Default」のままです。
⑦印刷スタイル
これも使用していません。色を変えると自動的に変わります。
⑧印刷
そのレイヤーのオブジェクトを印刷するかしないか、これをコントロールします。ここがオフになっていると、そのレイヤーでいくら作図をしても印刷されません。
初期設定はオンなので、あえてオフに設定しない限りは特に気にする必要はないでしょう。
こんな機能必要なの?と思ったかも知れませんが、これが以外と使うんです。
オートキャド(AutoCAD)には補助線の機能がありませんが、この機能を上手く使うと補助線のようなモノが使えるようになります。
補助線って何?と思った方もいると思いますが、今回はレイヤーに関してのお話だけをします。補助線については後でしっかりとするつもりでいますから。
レイヤーについてはこんなところでしょうか。次回は色の設定についてお話ししたいと思います。