前回でオブジェクトスナップについての話が終わりましたので、今回は早速実践をしてみましょう。
今のところは通り芯が1本と通り芯番号用の円が1個あるだけですから、まずはこの2個のオブジェクトを適切な位置関係なるように調整です。
コマンドはmoveを使いましょうか。
■move(移動)
ここでは円を移動して、線の先端にくっつけてみましょう。とても単純な作業ですが、図面を完成させる作業の中で、それこそ何十回と必要になってくるはずです。
こういった作業の効率は、作図スピードに大きく影響しますから、操作の内容だけではなくて速度も意識しながら覚えることにしましょう。
手順は以下の通りです。
①コマンド待ちの状態でM+Enter又は右クリックでコマンド開始です。
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②「オブジェクトを選択:」という表示が出るので、その通りに移動させたいオブジェクトを選択し、全て選択したらEnter又は右クリックで確定させます。
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③「基点または移動距離を指定:」という表示が出るので、これまたその通りに基準点を左クリックで決めてあげます。
そして、オブジェクトスナップを効かせるのはこんな場面です。今回の場合は、選択した円の四半円点をピックします。でも、四半円点は定常オブジェクトスナップに入れていない方が多いと思います。
なので、基準点を選択する際にShift+右クリックでメニューを出して、その中から選んであげましょう。あまり使用頻度の高くないスナップ点は、大抵の場合この方法をとることになります。
ショートカットに登録したほうが効率は良いのですが、使用頻度によってはあまり意味がありません。それどころか、押しやすいショートカットがひとつ無駄になってしまいますので要注意です。
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④「目的点を指定 または <基点を移動距離として使用>: 」という表示が出るので、その通りに移動先の点をクリックします。
言うまでもないとは思いますが、今回クリックする点が、さっき選んだ基準点の新しい場所になります。なので、今回選ぶ移動先の点は、通り芯の端点ということになる訳です。
端点は定常オブジェクトスナップに入れたほうが良いので、その前提でお話しをしますね。端点を定常に入れていない人はあまりいないので、入れた方が無難です。
通り芯の端点付近にカーソルをもっていくと「端点選択してます」という記号と文字が出てきます。この状態で左クリックをすれば、きっちり端点をとってくれています。
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⑤これでmove(移動)コマンドは完了です。
■目指すレベルは?
移動は作図を進めていく上で、かなり頻繁に使うことになるコマンドです。開始から完了までの流れを覚えて、画面から目を離さないで作業出来るようになるのが理想です。
そうなれば作図スピードはかなりアップします。
ただコマンドを覚えるだけじゃなくて、あなたに目指して欲しいのはそのレベルなんです。コマンドを知っているだけでは、他の人との差があまりありません。
差をつける部分は知識ではなく、スピードと正確さ、あとはプロ意識なんです。シンプルすぎると思う方もいるかも知れませんが、現実は半分以上の人が出来ていません。
ですから、これからオートキャド(AutoCAD)を覚えようとしている方でも、きっちりポイントを押さえておけば勝負が出来るんです。というか、いつも上記の点を考えて仕事をしていれば、勝負出来るどころかあっさりと勝ってしまうでしょう。
作図が早くて間違いが少なく、きちんと約束通りに仕事を終えてくれる人はそう多くないです。なんだか話が違う方向に向かっているみたいですね。
話の流れはともかくとして、ここで私が言いたいのはとても単純なことなんです。移動コマンドのように頻繁に使用する機能については、手順を何度も確認して覚えてしまいましょう、ということです。
どれだけ眠たくても、ちらっと移動しようと思うだけで、体が勝手に反応してM+Enterをやっている。こうなれば大抵の人には、少なくともスピードでは負けないハズです。
そんなレベルが理想ですが、現実はそう簡単にはいかないと思います。でも、実際出来る人もいる訳ですから、あなたも高いレベルを目指して頑張って頂きたいです。
とは言え、目標が高すぎると、今現在は何をやればいいのかが漠然としてしまい、結局頑張れません。割とありがちな状態なので、そうならないようにまずは今あなたが出来ることをきっちり確実にやっていきましょう。
今出来ることとは、とりあえず主なコマンドの名前と機能を覚えること。これが最初のステップですね。
そして、次はそのコマンドひとつひとつの具体的な手順を覚えること。一度覚えてしまえば、後は実際の仕事を数多くこなして、身体にしみこませることです。
そうすれば、いつの間にか操作が身についていることに気が付くハズですよ。この段階まで来れば、オートキャド(AutoCAD)の操作については一人前だと考えていいと思います。