今回はオートキャド(AutoCAD)のコマンド操作をする際の手順というか、操作の順番についてお話ししようと思います。

個人的にはけっこう重要なのでは…と思うのですが、あなたはどう思うでしょうか。ちょっと考えてみて欲しい設定です。

ちなみに、この設定はどうしていますか?という質問を同業の知人にすると「え?ああ、別にどっちでもいいんですけど…っていうかそんな設定あるんですね」みたいな感じの返答がかなりの確率で返ってきます。

うーん…あまり気にならない設定なのか?と思ってしまうんですね。なので、あなたはどう思うでしょうか、と聞いてしまいました。

その設定を気にしてないという事は、どっちでもいいという事ですから、つまりは初期設定のままなのでしょう。初期設定で別に不便がないならそれで良いような気もしますけど…。

とまあ後ろ向きっぽい前置き(変な表現?)はさらっと流して、具体的な話をしましょう。

■システム変数:PICKFIRST

今回お話ししたい設定は、オートキャド(AutoCAD)でオブジェクトの選択を先にするか後にするかの設定です。初期設定は「先」になっています。

設定の名前はシステム変数「pickfirst」です。カタカナだと恐らく「ピックファースト」となると思います。

では、具体的にはどういうことか。これには、移動コマンドの手順を少し思い出してみるのが一番分かりやすいでしょう。おさらいも兼ねてちょっと思い出してみましょうか。

コマンドの簡単な流れは下記のような感じです。

①オブジェクト選択
②コマンド開始
③基準点決定
④移動先の点決定

で、このコマンドの流れの中で、①と②の部分が今回はポイントになってきます。

●オブジェクトを選択してからコマンドを開始する
これが初期設定です。システム変数「pickfirst」の値は1になっています。

●コマンドを開始してからオブジェクトを選択する
これは初期設定を変更した状態です。システム変数「pickfirst」は0になります。

操作的にどちらが優れているのかというのは、慣れなどが絡んできますからなかなか決められません。…というのは少しズルイ表現なので、ヤメにしたいと思います。

私はコマンドを先にすることをオススメします。

理由は、何気なく選んでいたオブジェクトを一緒に移動したり消したりしてしまうからです。ふと気が付いたら通り芯がいつの間にか消えている、とかいう状態になりやすいんですね。

それだったら、きっちりとコマンドを開始して、消すオブジェクトを改めてしっかりと選択する方が確実です。やはり仕事ですから、確実さはとても重要なポイントになると思います。

■機能をとるか確実性をとるか

ただし、「pickfirst」を0にすることによって、ひとつだけ使えなくなる機能があります。その機能とは、ダブルクリック編集機能です。

ダブルクリック編集とは、いちいちコマンドを指定しなくても、編集したい文字をダブルクリックするだけで文字編集が可能になるという、とても便利な機能です。

これが使えなくなるのは微妙に痛いです。でも、間違ってオブジェクトを消してしまうくらいなら、使わないという選択をするべきだと思います。私ならば便利さよりも確実性をとります。

それに、ダブルクリック編集がいくら手軽で便利な機能だとしても、結局は文字編集機能です。文字編集を短縮コマンドに割り当ててしまえば、ダブルクリックするのと同じくらいの手間で操作することが可能です。

一応設定方法も書いておきます。

システム変数ですから他の設定と同様、コマンド待ちの状態で「pickfirst」と入力してEnter、その後0又は1と入力で完了です。

という訳で、自分にはどちらのやり方が合っているのかを一度考えてみてはいかがでしょうか。結果としてどちらでもそれは問題ではなくて、自分でどちらかを考えることに価値があるんです。