キーの割り当てを変更する
前回は短縮コマンドの説明をしました。その中で「初期設定は必ず自分の好みに合わせて見直ししてください」と書いたのですが、やり方を全然説明していませんでした。(汗)
という訳で、今回は短縮コマンドのキー割り当てをどうやって設定するのかについてお話しますね。それほど大げさな方法ではありませんから、ぜひここで覚えてしまいましょう。
短縮コマンドのキー割り当てはPGPという拡張子のファイルによって設定されています。オートキャド(AutoCAD)では「acad.pgp」であり、オートキャド(AutoCAD)LTであれば「aclt.pgp」となります。
普通にインストールをしている場合は下記の場所にファイルがあるはずです。
「C:\Program Files\AutoCAD LT 2005(←ここはバージョンによります)\Support\aclt.pgp(またはacad.pgp)」
探すのが面倒だと思った場合は、「*.pgp」で検索すれば出てきますのでやってみてくださいね。
ちなみに「*」はアスタリスクと呼ばれていて、何でもいいよ、というような意味合いで使われます。ですから今回の場合は「ファイル名は何でもいいから拡張子がpgpのファイルを探して!」ということになります。
どうしてアスタリスクにしたかというと、入力が面倒だったからです…。拡張子pgpのファイルは他のソフトではほとんど使用されていませんので、おおざっぱな検索でも大丈夫なんです。
だからと言って「*.*」で検索するのはダメですよ?ファイル名は何でもいい、拡張子は何でもいい。これだと当然全部のファイルになってしまい、検索の意味がありませんから…。
■PGPファイルの編集
ファイルが見つかったら、早速PGPファイルを開いてみましょう。とりあえずファイルをダブルクリックです。特に設定していない限り「メモ帳」というソフトでPGPファイルを開いてくれるはずです。
メモ帳が立ち上がらない場合は「このファイルはどんなソフトで開くの?」というウインドウが出てくるはずです。そこで「Notepad」を指定してあげると、メモ帳でPGPファイルを開くようになります。
開いたファイルを見てみると、いきなり英語がどばっと表示されるかと思います。なんじゃこりゃー!と思うかもしれませんが、安心してください。冒頭の英語部分は全然重要ではないので、別に読む必要はありませんから。
セミコロン「;」が左側についている行は「説明文ですよ」という意味なので、別に何が書いてあってもいいんです。極端な話、消してしまっても。
画面をスクロールしていくと、左側にセミコロンが入っていない部分が出てきます。ここからが本番です。そこにはこんなパターンの文字列が並んでいるハズです。
A, *ARC
B, *BREAK
C, *CIRCLE
・
・
(以下続く)
これが短縮コマンドのキー割り当て設定になっています。察しの良い方ならもう理解できたかと思いますが、一応説明しますね。
左側のアルファベットが短縮キー、*の後ろが割り当てられたコマンド、というパターンで配置されています。
ちょっと解りにくいかも知れませんので、上記を例にとってお話ししましょう。
「A,」の部分が短縮コマンドの割り当てキー、その後ろに続く「*」のさらに後の「ARC」が割り当てられるコマンドということです。
なので、この設定では A + ENTER(又は右クリック)でARC、つまり三点円弧のコマンドが使えるという設定になっています。
では、ここでPGPファイルの内容を 「*ARC」 から 「*ARRAY」 に書き換えてみましょう。書き換え作業自体は通常のワープロ操作でOKです。
そうすると、次回のオートキャド(AutoCAD)起動時からは A + ENTER で三点円弧ではなく配列複写が出来るようになります。
私は「MOVE」にしていると前回お話ししましたが、もちろんARCやARRAYではなく、Aで始まらないコマンドを割り当ててもOKです。
■全てのアルファベットを使う
この要領で、全てのアルファベットに対して見直しをしていきましょう。
ただ、良く使用するコマンドは、恐らくアルファベットの数よりも多いですから、1文字のキー割り当てでは足りない場合が出てくると思います。
もしアルファベットが足りなくなった場合は、優先順位の低い方を2文字に割り当てていきます。2文字にする場合も、なるべく押しやすいキー位置の組み合わせにしてあげると便利です。
SはSTRETCHで使用するので、拡大縮小のSCALEはSSとかSCとかに割り当てるとか、そんな感じで調整していきます。
同じキーを2回だと、1文字の場合と手間はそれほど変わりませんし、SとCならお互い場所が近いので入力が楽です。考え方の基本は、あくまでも押しやすさです。
この方針で考えると、初期設定でCOPYコマンドのキー割り当てがCPとなっているのが、どれだけ非効率的なのかが分かるかと思います。
ちなみに私はCOPYコマンドをCに変えています。どう考えてもCIRCLEよりも使用頻度が高いですからね。
キー割り当ての設定についてはこんな感じです。大事なのは自分で考えて決めることですよ。自分流の設定ですから、細かいところまで自分で考える方が良いに決まってますよね。
ここで重要なポイントをお話ししますね。
どんなにオートキャド(AutoCAD)のことを知っていたとしても、一発で設定が決まることは絶対にあり得ません。まずはその点を頭に入れておきましょう。
よく考えて設定しても、作業を進めていくうちに追加したいコマンドが出てきたり、実際にはあまり使わなかったコマンドがあったり、ということになります。
必ずなります。というか、ならなければウソです。
オートキャド(AutoCAD)を使い始めて10年くらい経ちますが、私もたまにPGPファイルを更新しています。常に使いやすさ、効率を考えていると、いま使用している短縮コマンドに物足りなさを感じてくるんですね。
そうやってPGPファイルは常に進化させてあげましょう。PGPの進化と共に、きっとあなたのスキルも進化しているはずです。これは非常に重要なポイントですね。