少々脱線した部分もありましたが、面倒でわかりにくい縮尺の説明がだいたい終わりました。

今回からはようやく、次のステップに進むことが出来ます。

とは言っても先はまだ長いですから、腰を据えて進んでいきましょう。

オートキャド(AutoCAD)の操作と直接関係はありませんが、図面の作図にあたっては結構重要なことを今回はお話しします。

■作図の作戦を練る

オートキャド(AutoCAD)を使って図面を作図する際には、まず最初の手順として、作図の順番を考えましょう。

具体的には作図する前にざっと図面を見て、作図手順の作戦を練り、完成までの目標時間を設定する、ということです。

これはオートキャド(AutoCAD)に限らず、図面を作図する上でかなり重要なポイントです。

個人的な作図手順の好みはとりあえず考えないでおくと、図面を作図するにあたっての一般的な手順は、だいたい次のようになると思います。

1.通り芯
2.建物
3.その他小物
4.文字
5.寸法
6.印刷
7.チェック

文字と寸法はどちらが先でも構いませんが、それ以外の手順はあまり変えない方が良いでしょう。まずは1から順番にお話ししますね。

■通り芯の作図

X1とかAとかの名前がついた一点鎖線を通り芯と呼びます。建物の柱の中心にはだいたい通り芯があります。
これは大抵の場合「お約束」と呼ばれるくらい当たり前のことですので覚えておきましょう。

この通り芯は工事中、建物の番地的な役割を果たす非常に重要な線です。「A通り」とか「X1通り」という呼び方をされます。

これを間違えて作図してしまい、工事の途中まで違う寸法でやってしまった、という笑えない話もあったりします。

では、その重要な通り芯の線を引いてみましょう。まずは線分コマンドですね。短縮コマンドなら 「L」+「Enter」でしょうか。





いかがでしょうか?線は引けたでしょうか。ちゃんと考えながら作図した方なら、ここでいくつかの疑問が浮かんだかと思います。

・線が引けない…
・水平と垂直にならない
・線が実線しかない

これらの疑問は当然出てくるものですから安心して下さい。

こうした疑問をひとつずつ解決していくことによって、オートキャド(AutoCAD)のスキルは高まっていくんです。

しつこいようですが、やってみる → 疑問に感じる → 解決策を考える、この手順で覚えていくのが一番早いですから。

■疑問点1.線が引けない…

これはもう、コマンドの手順を覚えるしかありません。手順は以下の通りですから、ゆっくりとで構いませんから自分で確認しながらやってみてくださいね。

① L + Enter (短縮コマンドを前提としています)
② コマンドラインに 「1点目を指定:」 と表示が出ますので、画面上のどこか適当な所を左クリック
③ コマンドラインに 「次の点を指定 または [元に戻す(U)]」 と表示されるので、画面上の点をもう一度左クリック。失敗したら 「U」+「Enter」 で元に戻ります
④ また 「 次の点を指定 または [元に戻す(U)] 」 と表示させるので、終わりにしたければ右クリック又は「Enter」を、もっと線を引きたければもう一度画面上で左クリック
⑤ あとは終わるまで④の繰り返し

手順は以上です。

単純な手順ではありますが、これを自分が納得出来るまで繰り返してみましょう。

この時点では、覚えることの関して特別な裏ワザみたいなモノはありません。地道に、納得がいくまで自分でやってみる。遠回りなようですがこの方法が一番確実で、結局は早いです。

■疑問点2.水平と垂直にならない

初心者の方がたまに失敗するのがここです。覚えてしまえばなんて事ないのですが、知らないとこういう部分でつまずいてしまうんです。

具体的にはどうなってしまうのか、私が何度か経験したお話をしましょう。結構昔の話ですが。

新しく入った人の作図があまりにも遅いので、ちらっと後ろから作業を除いていると…カーソルをじぃぃぃっと睨み、マウスを絶妙な位置に調整しながら水平な線を描いていました。

線1本に入魂状態です。これでは作図が遅いのは当たり前です。マウスの微妙な調整が必要になってくる、かなり苦労する作業になると思います。

ちなみに、この話を「いやーびっくりしましたよ…」という感じで上司にしたら、がっちり怒られました。

私が最初にきちんと説明しなかった為に、相手に無駄な時間をつかわせてしまった、という理由ですね。本当のことですので返す言葉もありません。

そして当然反省もしました。

こうした基本的なことは、最初に言っておくべきだったんですね。

線1本に入魂しなくても、水平・垂直に線を描きたいと思ったら「直交モード」をオンにすれば水平・垂直の線は作図できます。

初期設定だと、「F8」ボタンで直交モードのオン・オフが切り替えられます。

直交モードがオンの場合は、0度・90度・180度・270度にしかカーソルが動かなくなります。これで水平・垂直線を引くのがラクになると思います。

オンとオフはコマンドの途中でも切り替えられますから、まさに自由自在です。

ただし直交モードよりもオブジェクトスナップの方が優先されますから、その点だけは注意です。

これで水平と垂直の線思い通りに描くことが出来ると思います。思い通りってところが大事ですよ。

私の説明が相当にヘタでない限りは、説明を読みながらやるのはそれほど難しくありませんから、是非やってみて頂きたいと思います。

そのレベルから一歩だけ進んで、説明を読まないでも出来るようになる、というか出来るようにする。

こうした作業をひとつずつやっていけば、自分でもびっくりするくらいオートキャド(AutoCAD)の操作がスムーズになります。

地道な道のりですが、頑張りましょう!