今回はビッグフォントについて少し補足をしようと思います。

SHXフォントを使った場合、全角の文字を表示するためにはビッグフォントを指定する必要がある、というお話を以前にしました。

この話自体が間違いという訳ではないのですが、全角、つまり漢字を表示するためには、もうひとつ知っておくべきことがあるんです。


■何が問題なのか

まず、ビッグフォントをBigfont.SHXとした場合、どんな問題が発生するのかについて考えてみます。

ビッグフォントですから当然のことですが、漢字などの表示は問題なくされます。その為のビッグフォントですから当然ですね。

では何が問題なのかというと、ごく一部限られた漢字の表示がされない、という点です。該当する漢字を入力すると、ビッグフォントを指定していないかのように「?」の表示となってしまいます。

もっと具体的に言うと、「框(かまち)」とか花崗岩の「崗」とかの漢字が「?」表示になってしまうんです。あまり使わない漢字もあるかも知れませんが、もう少し書いてみましょう。

切磋琢磨の「磋」とか
嗜好品の「嗜」とか
危険を孕むの「孕」とか
終焉の「焉」とか
「檜」とか「卍」とか…

まあその他色々あります。オートキャド(AutoCAD)で図面を描くにあたって、全然使いそうもない漢字もありますが…「卍」を記入する図面って想像が出来ませんね。

では一部の漢字だけ表示されないのななぜでしょうか。ぱっと見たところ、表示されないのはあまり馴染みのない漢字が多いような気がします。

馴染みのない漢字なら「?」になっても別に影響は少ないと思う方も中にはいるでしょう。私も図面中に「終焉」などと記入することはまずないと思いますし。

ですが、一応知識として知っておいた方が、イザって時に困らないで済みます。実際の話、私は困りましたから。それほど難しい話でもないですから、この際ここで覚えてしまいましょう。

■漢字の種類によって

結論から言うと、ビッグフォントをBigfont.SHXとした場合、第二水準の漢字が表示されません。「?」になるのはその為です。

パソコンで漢字を扱う為、JISによって決められた分類として、漢字には第一水準と第二水準という区分がされています。簡単に言うと、一般的な漢字は第一水準、それ以外の漢字を第二水準としているんです。

普段使っている漢字はほとんどが第一水準漢字なので、ほとんどの場合作図に支障はありません。でも、先程挙げたような漢字を使った場合に限り、問題が出てくる訳です。

■どうすれば表示できるのか

解決方法は二つあります。
まずひとつはSHXフォントを使うことをやめて、TrueTypeフォントを指定することです。TrueTypeフォントは第一水準も第二水準も表示が可能なので問題ありません。

もうひとつは、ビッグフォントの種類をBigfont.shxからExtfont.SHXに変えることです。Extfontは第二水準まで表示が可能なので問題解決です。

どちらの解決方法を選択するのかですが、これは以前もお話しした理由で、Extfontに変える方が良いと思います。

ならば最初からExtfontを指定しておけば良いのに…と思うかも知れません。でも、ExtfontはBigfontに比べてカタカナなどが読みにくいので、どうしてもオススメはしたくないんです。

読めない訳ではないので、全ての図面でExtfontを使うのもアリなんですが、あとは個人の好みと会社の都合によって決まってきます。

私もなんだかんだ言いながら、Extfontを使うことが多いです。

■一番マズイのは

目的の漢字を表示させる為に、上記に中からどんな方法をとっても良いです。図面は読めればとりあえず役目を果たしますから。

でも、「?」のままにすることだけは絶対にダメです。

オートキャド(AutoCAD)ではちゃんと入力してるんだけど、印刷されないからしょうがないですよね。と言ってそのままの人が今まで結構な数いました。

でもそれは、図面を見る側にとっては全然関係のない話です。オートキャド(AutoCAD)上で記入していようがいまいが、印刷したときに「?」なら意味がないんです。

今まで何度かお話ししましたが、オートキャド(AutoCAD)はあくまでも図面の作図を助けるツールに過ぎません。なので、その機能を言い訳にすることは技術者として恥ずかしいことだと私は思います。

「鉛筆の芯がなくなったから図面の途中から線が消えてます」と言って図面を提出する人は多分いませんよね。

「?」表示をそのまま放置するというのは、極端な言い方かも知れませんが、それと同じことだと私は考えています。