オートキャド(AutoCAD)を使う上で、文字というのは非常に重要な要素です。なぜなら、図面の中で文字の果たす役割というのが、同じく非常に重要だからです。

あなたがどんな種類の図面を作図するにしても、それが実際に使われる図面である以上、多かれ少なかれ文字を記入することになるはずです。

そういった理由で、基本的な操作から細かい話まで、今まで時間をかけて文字関連のお話しをしてきた訳です。面倒な部分もありますが、文字については深く知っておいて損はないと、少なくとも私はそう考えています。

■文字の欠点とは

文字の特徴や欠点などを今まで色々とお話ししてきた中で、文字の場合は設定が面倒であるというのがひとつの特徴として挙げられると思います。

あとは欠点として、たくさんの文字を記入していくと表示が遅くなってくる、という点も挙げられます。

最近のパソコンを使っているのであればあまり気にならないかも知れませんが、性能の劣るパソコンの場合は影響大です。オブジェクトの数が同じであれば、線や円に比べて文字の方が画面表示にかける負担は大きいんです。

最近オートキャド(AutoCAD)をはじめた方ならば、きっと最近のパソコンで作業をされているのだと思います。なのであまりピンとこない話かもしれませんが、やはり知識として知っておいた方が良いと思います。

もし、文字がたくさんあって画面の表示が遅い場合でも、ある程度のレベルまでは我慢が必要でしょう。でも、あまりにも遅い場合は作業に支障をきたしますから、何らかの対応を考えたいところです。

この場合の対応には二種類の考え方があります。

ひとつはパソコンをスペックの高いものに変えること、そしてもうひとつは文字の表示を省略することです。
パソコンを買い替えるというのはそうそう出来ることではありませんから、ここではあまり重要視しません。

お金がかかるような対応方法なんてあまり価値がありませんから。
という訳で、今回は文字の省略について考えてみたいと思います。

■システム変数:QTEXTMODE

画面上で文字の表示方法をコントロールするシステム変数です。例によって「0」と「1」によって設定が切り替えられます。初期値は「0」で、それぞれの設定は下記の通りです。

0:文字省略モードオフ(文字を完全に表示)
1:文字省略モードオン(文字を省略して表示)

操作方法も他のシステム変数と同じです。コマンド待ち状態でシステム変数を入力し、「0」か「1」を入力してEnterで完了です。

キーボードからの入力が面倒な場合は、プルダウンメニュー「ツール」一番下の「オプション」からも設定が可能です。

オプションのダイアログボックス内「表示」タブの中に「表示機能」という項目があり、その中に「文字の境界フレームのみを表示(B)」という欄があるので、省略表示をしたければそこをピックです。どちらの操作でも、結果は同じです。

ただし設定が完了しても、再作図をしなければ設定は反映されないので注意が必要です。
コマンド入力で「REGEN」と入力するか、プルダウンメニューの「表示」内にある「再作図」を選択するか、どちらでも構いません。

再作図をして、ようやく文字省略の設定は完了します。

■文字省略は使えるか

文字省略モードを実際に体験してみると、恐らくほとんどの方は違和感を覚えることになると思います。

今まで文字が表示されていた部分が全て四角形になっていて、どんな文字なのかは文字編集画面でしか確認が出来ません。

そして、そのかわりに画面の表示が速くなっています。

もちろん「文字省略モード」をオンにした訳ですから、文字が省略されるのは当然のことなのですが、それでもやはり最初はとまどってしまうのではないでしょうか。

文字が読めないのは良いとしても、四角形になってしまうと一般のオブジェクトと見分けがつかなくなってしまいます。これが少し残念な部分です。

この「文字省略モード」をオンにすると、作業は微妙にやりにくくなってしまいます。そのかわりに表示が速い訳ですが…。

表示速度と作業性のどちらかを選ばなければならないとしたら、あなたはどちらを選択するでしょうか。

答えは人それぞれだと思いますが、表示速度を優先させる方もいると思うので、今回は文字省略についてお話をしました。正直なところ、私にはちょっと使いこなせない機能ですが…。

メリット、デメリットを体験する為にも、一度設定を変えてみてはいかがでしょうか。

最後にもうひとつ注意点があります。この文字省略モードは作業中は良いのですが、いざ図面を印刷する段階では必ずオフにしないといけません。

文字省略オンのまま印刷すると、悲しいかな文字が全て省略されて印刷されてしまいます。ちょっとそれはないんじゃないか、という気がしますが、そういう機能なので仕方がありません。

でも、どんなに気をつけていても、印刷する時にはついつい忘れてしまうんですよね…。