今まで何回かに分けて、オートキャド(AutoCAD)で使用出来るフォントについてお話しをしてきました。

フォントのには大きく分けて「TrueTypeフォント」と「SHXフォント」があって、それらの特徴について、そしてその流れでビッグフォントについてもお話ししましたね。

当然のことですが、どちらにも良いところがあって、その反面あまり良くない所があります。以前も同じような話をしてきましたが、特徴とはそういうものなんですね。

色々な設定があるのなら、使われる可能性のある設定についてそれぞれの特徴を知り、状況に応じて使い分ける。これが各種の設定に対する基本的な考え方ではないかと思っています。

では、今回の場合でいうと、フォントについて。

これはオートキャド(AutoCAD)を使った実際の作図において、どの様に使い分ければ良いのでしょうか。良いところを最大限に生かす、ということを頭の隅に置きながら少し考えてみましょう。


■なんの為の図面かを考える

まずは、オートキャド(AutoCAD)で作図する図面は「なんの為に作図するのか」について考えてみます。

以前図面枠の果たす役割について色々とお話しをしたことがありました。

要するに図面というのは、対象物を事前に確認するため、紙の上に同じ形で描いてみる、という目的があります。

対象物は建物であったり機械だったり色々ですが、そのものを作る前に「本当に作っても大丈夫か」を確認しなければなりません。その為の図面なんですね。

そして対象物が作られた後では、それがどんな計画や手順で作られたのかを後になっても確認できる様に、やはり図面が必要になってきます。

微妙にややこしい話になってしまいましたが、図面の用途・目的というのはそのあたりにある訳ですね。
では、フォントの話に戻ってもう一度考えてみましょう。

図面の用途をいま考えましたが、図面の中ではTrueTypeフォントとSHXフォントと、どちらを使うのがベターなのでしょうか。

日本語が印刷されればとりあえずの目的は果たせるので、「どっちでもいいのでは?」という意見ももちろんアリだと思います。

ですが、やはり少しでも効率が良くて楽な方を選ぶべきだと私は思います。そういう意味で、ここではベターという表現を使いました。

■図面は見やすさが第一

先程お話しした図面の用途を考えると、図面というのは本当にたくさんの人に見られる、ということが分かるかと思います。

図面を見て、それをもとにして物を作ったりする。そのために図面はまず見やすく、そして分かりやすくなければいけません。これはとても重要なポイントです。

見やすい図面の為に必要なフォントは、TrueTypeフォントでしょうか。それともSHXフォントでしょうか。
…少し質問の内容を変えましょう。

見やすい図面である事が第一条件ならば、文字が明朝体やゴシック体である必要はあるでしょうか。

これは少しフェアじゃない質問ですが、私の考えはこの質問に集約されています。明朝体やゴシック体を使う意味、ということを考えてしまうんですね。

明朝体やゴシック体は文字が美しい反面、データの容量が大きくなり、また文字が線分などのオブジェクトよりも目立ってしまうという特徴があります。

いわばスペシャルな文字なんです。

そんなスペシャルを全ての文字で使うのは、ちょっと無理があるんじゃないかなと私は思います。そんなことをしなくても、図面はその役目を果たすことが出来ますから…。

ちょっと長くなりましたが、そういった訳で、図面の中ではSHXフォントを使用するのがベターではないかと私は思っています。

■TrueTypeフォントの使いどころ

では、TrueTypeフォントは図面では全く使わないのかというと、そういう訳ではありません。使いたい場面は色々と出てきます。

まずは「目立つ」という特徴から、図面の中で圧倒的に目立たせたい文字にTrueTypeフォントを採用します。

様々な用途の図面(雑用的な図面を含めて)を描いていると、ピンポイントで目立たせたい部分というのは結構出てきます。そういう部分にゴシック体などを使うと効果的です。

また、図面枠内の文字も強調したい文字のひとつです。図面枠というのは図面の中で特別な存在ですから、そういう意味でもTrueTypeフォントを使うのが正解ではないかと思います。

あとは図面の一部を書類に貼り付けたい場合。貼り付ける相手は書類ですから、図面内の文字も書類に合わせた方がよいでしょう。

このようにTrueTypeフォントも結構色々な場面で使うことになってきます。使いたくなったときにきちんと使えるように、設定の方法だけは今から覚えておきましょう。

覚えた知識が役に立つ場面がきっと来ますから。