今回は具体的なコマンドではなくて、コマンドの前につける記号とその機能についてお話ししようと思います。

もう少し具体的に言うと、その記号とは「’」のことです。この記号にはどうも色々な呼び方があるようですが、とりあえずシングルクォーテーションと呼ぶ事にします。

「どれ?」と言われるとツライので、場所だけ最初に説明しておきますね。「Shift」キーを押しながら「7」を押すと出る記号のことです。

呼び方はともかくとして、コイツは結構便利な機能をもっているんです。どんな機能かというと、コマンド割り込み機能です。

■コマンドの途中でさらにコマンドを

割り込みコマンドとは、何かのコマンドを実行中に全く別のコマンドを実行するという機能です。

コピーをしている途中で画層管理画面を出して、必要のない画層を非表示にする。とか、線を引いている途中で現在の画層を変更したりとか。そういった利用方法です。

割り込みコマンドが終わると、何事もなかったかのように途中だったコマンドが再び開始されます。これが割り込みコマンドの特徴です。

割り込みコマンドには出来ないコマンドも結構な数あります。コマンドの性質上、これは仕方がないでしょう。以下に挙げるタイプのコマンドは、割り込みでは使えません。

・新たにオブジェクトを作成するコマンド
・新たにオブジェクトを選択するコマンド
・作図を終了するようなコマンド

これは割り込みという機能を考えればごく自然な制限でしょう。

線を引いている途中でまた新たに線を引き始める、というような操作を制限している訳ですが、そんな操作をするなら一度コマンドを終わらせる方が早いですから。

基本的な作図の流れから考えると、補助的な機能を割り込みコマンドで使用するのが自然です。

■具体的な使用方法

割り込みコマンドの使用方法は、冒頭でも軽くお話ししましたが、コマンドの頭に「’(シングルクォーテーション)」をつけるだけです。

とても簡単ですね。

画層管理コマンドのアイコンを調べてみると、もう既に割り込みコマンドとして設定されていることが分かります。オートキャド(AutoCAD)側でもきちんと考えてくれている訳ですね。

ただし残念なのが、短縮コマンドでは割り込みコマンドが利用できない、ということです。

コマンドの途中では様々なアルファベットがオプションで設定されていますから、そこで入力したキーが割り込みの短縮キーなのか、それともオプションなのかを判断できないんですね。

これはもう仕方がありませんので、割り込みコマンドで使用しそうなコマンドは、短縮コマンドではなくてショートカットキーを使用するようにしましょう。